緩和ケアの役割について

緩和医療はあなたらしく生活することを支える医療です

緩和医療や緩和ケア、ホスピスを紹介されることに死の宣告されることのように受け取ってしまう方が多くいます。

病気を治すことに医療の本質を見出すと緩和ケアの存在はどうしても最終段階の医療としてとらえているからだと思います。

緩和ケアには死ぬ場所という一面もありますが、それ以前にあなたらしく生活することを支える医療という一面があります。

 

一般的な病院でのお医者さんと患者の会話です

医者:「抗がん剤の効果もほとんどなくなり、さらに強い抗がん剤をつかう体力もないと思います。当科で積極的に行う治療はございません。」

患者:「最近はなんだか腰の辺りが非常にいたいんです…」

医者:「そうだ。いいところがありますよ。緩和ケアです。」

患者:「緩和ケアですか。もうすぐ死ぬってことですか?」

医者:「痛みとか、心の痛みとかをとってくれるいい先生がいますよ。そこを紹介しましょう。ね。」

患者:「え!!先生見捨てないでください。もっと治療してください…」

医者:「それじゃあ、また来週来てね」

お医者さんとしては抗がん剤の治療の適応はないけど、患者が主治医からはなれたくないから、ずーっと癌治療の医師にかかり続けるというのは、よくある展開だと思います。

しかし、日に日に症状は悪化し、痛みや息苦しさが送にもならなくなって、本人も主治医も家族も限界に達し、寝たきりになってから緩和医療を紹介されたという話をよく耳にします。

強く痛がり、動けず、あきらめと不安で押しつぶされそうになってからホスピスや緩和ケア病棟を訪れたという方も少なくありません。

このような話を聞くと、ホスピスや緩和ケアは死にに行くような場所というイメージはあながち間違っていないような気がしてしまいます。

しかし、もう少し有効な緩和医療やホスピスの利用方法があります。




死ぬ直前ではなく、もっと前から緩和医療や自分の終末期の生活について考えておくべき

癌という病気は治らないものであると考えれば緩和ケアは通常の治療の流れの一部として大切な役割を果たしています。

多くの癌はパーキンソン病などの変性疾患とよばれる病気に比べ、進行が速く、改善することはありません。

初期の段階であれば完全な切除により「癌がなくなる」状態になることがある。がん細胞が元にあった場所から移動したり、大きくなって隣の臓器にまで広がっている場合は治らないと考えるべきです。

癌という病気は感染症と違い、自分の免疫力で病原菌を駆逐できません。

切除しきれない癌との戦いは、抗がん剤や放射線でがん細胞を減らしたり、増やさないようにするのだが、抗がん剤という対戦カードで完勝は出来ない。

 

癌が無造作に増殖し、抗がん剤で数は少なくなるが、消滅はしません。

ガンは庭の雑草に似ている。雑草に除草剤を撒いて一次的に全ての雑草を枯らしても、暫くしたら新しい雑草が生えてくる。芽を出したらまた除草剤を撒かければならない。

永久に雑草が生えないようにする除草剤はない。抗がん剤も同じような一面を持っている。

抗がん剤の効果は一時的で、抗がん剤に耐えた細胞がむくむくと増える。

抗がん剤の場合、2度目は1度目よりも効果がなくなってくる。抗がん剤がセカンドラインになれb、正常な細胞も障害される率が増えるので、副作用が強くなる。

抗がん剤による、吐き気、だるさは言葉にできないほどです。

吐き気やダルさは抗がん剤投与したあと一定期間続くが、症状が消え体力が回復したらまた投与することになります。

 

何度も何度も抗がん剤を続けてゆくうちに、体調の回復は遅くなり、そのうち今使っている抗がん剤に抵抗するがん細胞が現れるようになり、抗がん剤の効果が当初に比べ限定的なってしまうでしょう。

抗がん剤の適応でなくなる頃や、抗がん剤の効果がなくなるころには体はだるくなり、食欲はなくなり、腹水や胸水、手足の浮腫などに悩まされているかもしれません。

痛みだけでなく、息苦しさが出て、日常生活に制限が出てきてしまうかもしれません。

 

ここに書いたような酷い副作用の抗がん剤ばかりではありませんし、抗がん剤と抗がん剤の間に自由な時間はあります。抗がん剤の副作用の脱毛や手足のしびれは死ぬまで残るものもある。

保険適応の抗がん剤の延命効果は科学的に証明されています。

発症から死ぬまでの期間が長い、ゆっくり進行する癌ほど抗がん剤による延命期間は長くなり、発症から死ぬまでの期間が短い、急激に進行する癌ほど延命期間は短いです。

例えば膵臓癌や肺がんのような癌は発症から死ぬまでが短いので、抗がん剤の延命効果は科学的に証明されているが、その延命期間は月単位なのです。

発症から死ぬまで平均5年かかる癌を1年延ばすこと、発症から死ぬまで平均1年かかる癌を1/5年(2.4ヶ月)伸ばすことは同じでしょう。

癌の種類によっては期待するほど苦しみから得られる対価は少ないように思えてきますよね。





ここまでつらつらと抗がん剤の治療効果についてお話したのは、がんの治療のいい面と悪い面をよく知り、治療をすると同時に、ガン終末期をどのように生活してゆくか、つまりは死んで行くのか真剣に考えておく必要があります。

治療ばっかり見ていては、自分らしく生き抜くことは出来ません。

緩和ケアやホスピスという存在は、あなたが自分の家で、自分らしく最期まで生活したい。でもガン終末期なので何が起きるか分からない。何かおきたときの受け皿になってくれるのが緩和医療、緩和ケアなのです。

 

人生最後の期間を緩和ケアですごされる患者の中には、癌と診断されてから数ヶ月間抗がん剤治療に専念されたが、抗がん剤副作用に耐えられず、積極的な治療ができなくなり、痛みなどの症状を軽減する目的で紹介される方がいるという話をはじめにしました。

今まで行ってきた治療にかけた時間と費用を使えば、もっと楽しく、楽に自分らしく過ごすことができたのではないかと思われる方は多くいます。

その人が選択したことなのでダメだという意味ではありません…。

 

緩和医療(緩和ケア)のもう1つの役割は症状緩和

ガンはいわゆる死病、不治の病であり、大きくなるにつれて、筋肉が減るために生活に制限が現れ、痛みや呼吸困難感などきわめて不快な症状をともないます。

このような不快な体の症状を減らし、楽に生活できるようにすることが、緩和ケアのもうひとつの目的です。

適切な医療用麻薬(モルヒネなど)を使用してもらうことで、痛みや息苦しい感じなどの不快な症状が減り、日常生活を送ることが出来るのです。

癌が引き起こすと考えられる様々な症状を緩和することは、がん治療の大きな流れになっています。

 

まとめますと、緩和ケアの役割は2つ。1つは、あなたらしく過ごすためのお手伝いをする役割。もう1つは終末期の症状を和らげるという役割です。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

より良く終末期を生活するために終末期をより良く過ごすための知識というカテゴリーがあります。参考にしてください。