食べれなくなり、痩せが進行した本人と生きる目的をみつける1つの方法




ここではちょっと難しい、哲学的な話をしていきたいと思います。

「人生最後の生きがい」「生きる意味」のような話です。こういうことを知りたいわけじゃないという人もいるかも知れませんので、はじめに断っておきますね。

人生最後の生きがい、生きる意味

がんの末期、食べることが出来なくなる頃は「生きる意味」「自分の存在価値」を見失いがちになります。

体が動かなくなり、穏やかに最後の時を待つという状況になりがちです。

もう余命は長くないと分かっているのに、生きる希望生きる意味を探そうとして、厳しい治療を継続する方もいます。

やるだけ辛いリハビリや栄養補助療法で体力低下や痩せを予防しようとする方もいます。

リハビリをしたいという人の中には、現在の病状を理解してない人や将来を楽観している人もいます。

私達は何かしら前向きな行動や治療をしていないと不安が生じ、自分の存在意味が失われ、押しつぶされそうな気持ちになることがあります。

病気が進んでからのサプリメントは病気には効果はない

痩せがすすんできてから、いろいろなサプリメントを試しても効果はほとんどありません。むしろ苦痛が増えます。

ガン終末期、末期になり痩せが進行してきた全身の状態で悪液質の進行に抵抗することは、苦痛を増やすことになり、生きる価値を探すために生きる辛さが増強してしまいます。

ただ、病気に抵抗するという行為が生きがいや生きる目的になり、自己存在を支えている人もいます。

「サプリメントなんて効果がないから止めなよ」というのは、病気と戦っている本人の自己存在を否定する可能性があります。

私は家族や本人からサプリメントの相談されても、否定も肯定もしないようにしています。

余命が一ヶ月未満の方が生きる意味を探すことは出来るのでしょうか?

わたしは、末期患者であっても生きる目的を探すことが出来ると信じています。ただし、大きな目標はかなえることは出来ませんが。

末期がん患者でもできる生きがいは「何かしらを残すこと」です。

例えば、手紙を書いたり、小さな小物を作って残したりです。

手紙を書くことは本当に素晴らしいです。

家族や友人に手紙を残しておくという行為は、残された人たちが深い悲しみから立ち直るのに役に立ちます。

 

痩せが進行してきて、食欲がなくなってきたとき、自発的に何かしたいと思うことは少なくなりますが、食事にしても自分から何か食べられるものを探そうというモチベーションは湧いてきにくい状態なのです。

食べれるものを探す

家族としては、食べれることが出来なくなり体力が低下してゆくのを見過ごすことは口値惜しいでしょう。

理不尽な病気を甘んじて受け入れ、本人が食べたいものを食べたいだけ食べさせてあげることが基本的な姿勢になります。

 

ご本人の自尊心を保ちながら、食べれそうなものを提供するのは難しいことではありますが、できるなら、本人が食べたいと言うものだけではなく、本人が欲しいと言わなくても、食べて喜んでもらえるものを提供したいですよね。

 

食べる量が減ってきた方の家族の方が出来ることは、本人と一緒に食べれそうなものを探すという作業です。

本人にとっても食べれそうなものを探すことは、生きるための目的が生まれることになります。

食べることが出来なくなったがん患者たちの中には、食べたいけど食べれるものがないし、ちょっと食べるだけで、満腹になるので食べていない方は多くいます。

少しでも食べれるものを見つけた時の喜びは、いろいろなことが出来なくなりつつある療養生活のなかで輝かしい感動を届けてくれます。

 

食事が出来なくなる時期になると、生きてゆく喜びが失われ、なぜ生きているのか分からなくなり、自暴自棄のような心持ちになりがちです。

そのようなとき、本人とともに食べれないなりに食べれるものを探すという行為は生きる目的を失いつつある本人にとって、意味のあることになります。

ひとくちでいいので、口にすると新たな発見があります。食べたことないもの。飲んだことないもの。何でもいいのです。

世界のいろいろなお菓子を試してもいいでしょう。

 

食べれなくなりつつある状況の中で、自分が食べれそうなもの食べ物を探すとう作業は、1つの例に過ぎません。

 

いままでお会いした末期がん患者の方たちで最期まで生き生きしていらっしゃる方は、自分が出来そうなことをチョットだけでも探し続けている方たちだと認識しています。

 

痩せが進行してくると、生きる意味が失われそうになります

食欲低下だけでなく、移動の問題。着衣の問題。排泄の問題。飲水の問題など、想像しているよりもたくさんの問題が山積みになることでしょう。

介護が必要となり、自分で自分のことが出来なり、自尊心を失った状態であっても、家族に迷惑をかけてしまうことを心の負担に思っている方は多くいます。

ご家族の介護の負担を出来るだけ少なくしたいと思っているのです。

 

介護のとき出来るだけ本人の協力を得れれば、相当楽になりますよね。本人に協力を得て、介護の負担が楽になったことを伝えてください。

「力を入れるの大変なのに、ありがとう」と伝えてほしいのです。

「あー!もっと力入れてよ。」なんていう心ない言葉は心を傷つけ、生きる意欲を減らします。

力が弱くなりたくて弱くなっているのではありません。本人は病気が進行して、みんなの役に立たなくなっているという辛い思いをしているのです。

病気が進行し、移動から着衣、食事までを他人の力をかりないと生活できなくなったときでも、辛い思いを察して、感謝の言葉をかけてください。

感謝の言葉は生きる力になります。

 

現実的な話ですが、がん患者の介護は、高齢の認知症の方の介護のように長く続くことは有りません。

ガンの種類や状況によりますが、ガンの痩せ(悪液質)の影響で動けなくなっておなくなりになるまで数ヶ月以内です。

 

ガン末期になると生きる意味を失いがちになりますが、生きるために必要なことを探したり、工夫することを継続することで、意味の有る人生を生き抜くことが出来ると思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。この記事以外にも、家族に支え、看取りなどの記事が役に立つと思います。参考にしてください。