いつも患者のそばについているべきなのか?




ガンが進行し、体が衰弱し、動作が不自由になると、だれかにそばに居てほしいと思うようになります。

また家族として、そばについていてあげたいと思うのは当然です。困ったことがあれば手助けしてあげたいと思うでしょう。

反面、「疲れているし、今日はそばについていたくないなぁ」と思うことも当然あります。このようなときに、本人が「そばに居てほしい」と望んだりすると迷いますよね。

 

ガンを患い、体が著しく衰弱しても、家族がそばに居ると自分の存在価値を再確認することができ、とても安心します。

足腰が弱まり、自分でトイレに行くことが出来なくなり、食事もほとんど出来ず、声も出しにくくなった時、自信が失われてしまうことは想像に容易いですよね。

人生が終わりを告げようとしているとき、親近者(家族)が居ると、とても心が安らぎます。

 

患者の心が安まるのは分かっていても、介護をしていると、疲れやストレスが溜まってゆくのも事実です。

 

どれぐらいそばについてあげたらいいのでしょうか?

がん患者は筋力低下により、日常生活が不自由になります。不自由になった分を家族がすべて助けるには相当な労力が必要になります。

たとえば、トイレに行くにしても足腰が立ちにくい人を転倒させないように、丁寧にトイレに連れて行くのはとても大変です。

家族一人で、一人のがん患者をお風呂に入れることはとても難しいです。

 

介護する人が肉体的にも精神的にも健康でなければ、良質なケア(お助け)はできません。疲れていたり、寝不足でがん患者に接しても苛立ちやストレスが溜まることになります。

家族自身が、自分の時間を持つことに後ろめたさを感じる必要はありません。

「本人ががん終末期で苦しんでいるのに、自分だけ楽しいことをしたり、美味しい料理を食べたりするのはダメなことだ。」なんて、罪の意識を持つ必要はありません。

ガンという病気は死病であり、ガンによって体力が弱まることは、医療の敗北でも、家族が自分のために時間を使っているからでもありません。ガンになって体が弱まり、死を迎えることは、自然な流れなのです。

 

誰でも限界がある

わたし自身、後悔しない程度に家族の人も自分の時間を大切にするべきだと思っています。

余命があと1〜2週間しかない場合は、出来るだけ患者のそばに居るべきだとおもいます。最後の時間を本人と充実した時間を過ごすことは、死別による深い悲しみから立ち直る助けになるからです。

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しかし、余命が一ヶ月以上ある場合は、家族(介護者)の健康はとても重要です。献身的な介護は素晴らしいですが、限界まで介護すると、家族が疲れてしまいます。

もし本人が望まないとしても、限界を超えた介護をしないようにするために緩和ケアや緩和ケア病棟、在宅医師、訪問看護ステーションなどの社会的資源があります。

 

最後まで自宅で過ごしたいという本人の希望を叶えるべく限界を超えて介護をして、クタクタになっているご家族を見たことがあります。

家族だけでなく、肝心な本人もクタクタになっており、何のために自宅で過ごしているのか分からないようになっていました。

ご家族の体力的、精神的に限界を超えない程度に、患者本人の希望に沿う」という考え方は本人、ご家族双方にとって良い選択になります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。