モルヒネを正しく理解して、患者力を上げる




モルヒネは自分らしく過ごすための薬

モルヒネに関してネガティプな認識が多いようです。この記事ではモルヒネの誤解を説くために書かせていただきました。正しく理解することは、患者力を上げ、ガン終末期を自分らしく過ごす力となります。

モルヒネと聞くと「強い薬」というイメージがある方が多いと思います。ひとによっては「死ぬ前だけに使う薬」というネガティプな認識だけを持っている人が少なくありません。

モルヒネが死ぬ前だけに投与されていたのはもう四半世紀以上も前の話です。今は適切な使い方が周知されているため、死ぬ時だけに使うなんてことはあり得ません。

 

また薬の作用の強弱は量に依存します。つまり、たくさん使えば強い作用が期待でき、少量で使えば弱い作用しか得られません。

当然たくさん使えば、副作用が強く出ます。「さじ加減」という言葉があるとおり、薬は適切な量を内服しなくてはなりません。

 

薬はたくさん使っても天井効果といって、作用の限界があることが普通です。

モルヒネは特殊な作用をもつ薬であり、鎮痛効果の天井がないといわれています。つまり、たくさん使えば使うほど強い作用が期待できるのです。

多量に使用しても、痛みがある限りは呼吸抑制など致命的な副作用はほとんど出ません。

 

モルヒネは痛みがある状態で使えば、使えば使うほど痛みが減ってゆくわけです。

痛みがないのにモルヒネを増やすのはダメですが、痛みがあるのにモルヒネを増やさないのもダメなのです。

チョット言い過ぎたかもしれません。痛みがあるのに適切に薬剤の量を調節したり、種類を選択していかないと、穏やかに過ごすことはできません。




適切な量のモルヒネなどのオピオイドを使うことが肝心

永久に続く痛みは辛いだけだと思いませんか?

終末期のガンの痛みのほとんどは薬でコントロールできます。痛みを適切にコントロールしていただければ、普段通りの生活ができるということを知っておいてください。コントロールが難しい痛みもありますが、多くの痛みはコントロール可能です。

ガンが大きければ強い痛みが生じるとは限りません。小さくても非常に強く傷む場合もあります。つまり、CT画像では痛みの強さは判断できないし、薬の量を調節することもできません。

例えば、すい臓ガンはCT画像でわずかに写るサイズの小さいガンでもすごく痛がります。肝臓ガンは肝臓を半分ぐらいガンが占拠してもまったく痛みを生じないケースもあります。

手術をした後の再発ケースの場合はCT画像ではどこにもガンの塊がないのに痛みだけ強烈という患者もいます。

 

ガンの痛みは痛くなりだしたらその痛みはだんだん強くなってゆく傾向があり、ほとんど軽減しません。

抗がん剤の効果を得られなくなり、ガンが進行し、痛みが強くなるにつれ、麻薬性鎮痛薬のモルヒネの量は増えてくでしょう。

 

ガンの痛みが弱くなって投与量を減らすというケースはほとんどないでしょう。つまり、ガンが進行すれば、痛みが強くなり体が必要とするモルヒネの量が段々増えてゆくのです。

モルヒネ等の薬が増量されると、抵抗感を覚え、痛みを我慢する人がいますが、全くメリットがありません。

ガンの痛みには防御反応としての意味はありません。ガンの痛みは非常に辛いものなのです。我慢する必要など、微塵も無いのです。

 

多くの方は、ガンになっても痛い苦しいを出来るだけ減らし楽に自分らしく最期を迎えたいと思っていると思います。

ガンの痛みはガン患者の心を疲弊させ、痛みは人格を崩壊させ、生活リズムを荒廃させます。

適切な医療行為で痛みを緩和するだけで、穏やかに生活できるようになり、自分の時間を自分らしく過ごせるようになります。そのためには、ガンの痛みに相性のいいモルヒネやオキシコドンを飲まなくてはなりません。

治療がうまくいけば完全に痛みから解放され、楽に過ごすせるようになるでしょう。完全に痛みから開放されなくても、日常生活に支障が出ない程度に痛みを減らせます。

この記事ではモルヒネを上げましたが、モルヒネ以外のオピオイドでも適切な量を使えば同じような効果を得られます。

モルヒネ(MSコンチン™など)以外にもオキシコドン(オキシコンチン™)、ヒドロモルフォン(ナルサス™)、フェンタニルなどがガン患者の疼痛コントロールに使用されるオピオイド(麻薬性鎮痛薬)です。

 




ガンの終末期の症状の中で「痛み」は早い段階で生じる

参考:緩和ケアマニュアル 日常生活動作の障害の出現からの生存期間

ガンの終末期とはガンと診断され余命が六ヶ月未満の状態をいいます。

ガン末期の症状の食欲が落ちた、歩けない、息が苦しいなどの症状よりも早く痛みが出てくることが多いのです。

食べられなくなってから痛みが生じる方は少ないのです。足腰が立たないぐらい体力が落ちてから痛みが現れるという方もあまりいません。

 

ガンになっても痛みをコントロールすれば、自分らしく日常生活を過ごせるのです。

ガン末期患者の中にはモルヒネを飲みながら旅行をする人もいます。

体力さえあれば、痛みをコントロールして家で家族と過ごすこともできます。

ガンの痛みをとることはガン患者にとって最低限必要な治療行為だと、ガン患者なら知っておかなくてはなりません。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください