腹水、胸水、浮腫の原因について

なぜガンになると胸水、腹水、浮腫のように異常に水が溜まるのでしょうか?

一番大きな原因は悪液質です。

悪液質は慢性の消耗状態であり、体の中のタンパク質や脂肪が減ってゆきます。タンパク質と言うと筋肉や骨や皮膚など骨組みとなるタンパク質(コラーゲン)が想像しやすいと思います。

事実ガンが進行すると筋肉や脂肪が消耗され、病的なヤセを引き起こします。筋肉など体を構成しているタンパク質以外のタンパク質もたくさんあります。

食べた物を分解するタンパク質(消化酵素)、分解した食べ物を腸から取り込むタンパク質、血管内の浸透圧を保つためのタンパク質(アルブミン)など生きてゆくために必要な働きをするタンパク質は無数にあるのです

 

悪液質が進行してしまうと様々なタンパク質の生産が間に合わなくなり、作る以上に消耗してしまうので生きてゆくことに様々な不調を生じるようになります。アルブミンが少なくなれば、血管内から水が漏れだしてしまいます。

ガンが進めば進むほどに外見は極度にやせているのに、腹は膨らみ、手足はむくんでいる状態になるのは血管内のアルブミンというタンパク質が減ることが大きな原因です。

アルブミンというタンパク質は血管内に水を保つ働きをしています。

ガンが進行し悪液質がすすめば血管内の水が漏れだし、腹水や胸水のような異常な状態を
引き起こすわけです。

 

ガンによって生じる水の偏在の大きな原因は悪液質ですが他にも、リンパが閉塞することが原因だったり、胸水や腹水が癌細胞によって異常に作られる状態になったりすることも原因です。

腹水の3つの原因について解説させていただきます。




 

胸水、腹水、浮腫の原因

水分の偏在が生じる原因には3つに分けることが出来ます。

  1. 血管から水分が漏れ出しやすくなっている
  2. もう一つは異常に胸水、腹水が作られる
  3. 胸水腹水の吸収が悪くなっている

 

1。血管から水分が漏れ出しやすくなっている

水分が胸腔や腹腔に漏れ出すのは、血管内のアルブミンというタンパク質が減るからなのです。

アルブミンは血管内に存在し、血管内の浸透圧を維持する役割があります。

浸透圧と言う言葉は聴きなれないとおもいますが、浸透圧とは水を取り込む力とイメージすると理解しやすいのではないでしょうか。

 

血管の浸透圧が高いと血管の周囲の組織から水分を血管内に引っ張り込むことができます。

アルブミンが少なくなり、血管内の浸透圧が低くなると血管に水分を引っ張り込むことができず、水分が血管周囲の組織に漏れ出してしまうのです。

アルブミンの低下は悪液質や肝臓の機能の低下が原因となります。

血管内の浸透圧が下がれば、水分は体のどこにでも溜まります。

 

腹水や胸水が何処に溜まるのか」という記事に書きましたが、腹腔や胸腔などあらかじめスキマがあるような部分に溜まりやすいのです。

浮腫は血管内の水分が皮下組織に漏れだした状態です。

水は心臓より低いところほど溜まりやすいので、脚が浮腫になりやすい。

 

重力の問題で足の血液を心臓に戻すことは、頭の血液を心臓に戻すよりエネルギーがいるため上半身より脚のほうが浮腫を生じやすくなります。

悪液質が進めば、アルブミンを消耗し、新たに作られるアルブミンも少なくなるため浮腫や胸水、腹水は悪化します。

 

アルブミンは肝臓で作られるので肝臓の機能が低下すれば、生産能力が落ちることになります。ガンが肝臓内に転移し、正常な肝臓を占拠するとアルブミンの生産力は落ちてきます。

つまり肝転移があると腹水、胸水は作られやすくなります。



2。異常に胸水、腹水が作られる

もう一つ胸水腹水が溜まる原因として、異常に胸水腹水を作ってしまっている状態が考えられます。

ガンが進行し腹膜に転移したり、胸に転移するとそこで炎症が生じます。

炎症を生じると抗体というがん細胞を倒すためのタンパクが造られ、胸腔や腹腔に溜まります。

異常に胸水腹水が作られる原因は炎症だけではありません。ガン細胞自体から異常なタンパク質を無秩序に作り出す場合があります。

多量のタンパク質の影響で腹腔内の浸透圧が高くなり、胸腔、腹腔内に水を引き込み胸水や腹水が増えてしまうのです。

 

異常なたんぱく製造に加え、ガン自体からも出血して胸水の原因となっています。

ガンが原因の胸水や腹水は血色であることが多いです

 

3。胸水腹水の吸収が悪くなっている

正常な状態でも胸水、腹水は少量作られていて、生産と吸収を繰り返しています。

ガンが進行し胸水や腹水の生産が増加すると胸水や腹水の吸収が生産に間に合わなくなり、胸水腹水がたまる傾向になります。

吸収経路の静脈やリンパ管がガンで圧迫、閉塞してしまい、胸水、腹水の吸収が悪くなってしまうのです。

 

胸水・腹水・浮腫は後戻りできない状態のサイン

ここまで胸水と腹水が生じる原因を説明したのは、ガンがある程度進行しないと、胸水、腹水はたまってこないという事実を知ってほしいからです。

胸水、腹水、浮腫が生じる原因がかなり進行したガンの進行に伴うものであり、初期段階では生じません。

当然抗がん剤でガンを小さくすれば胸水や腹水が減少させることができます。

しかし、ガンが大きくなってしまい抗がん剤の治療効果が乏しくなると腹水胸水は増えてくるでしょう。

この記事では腹水、胸水、浮腫の原因について説明させていただきました。ガン終末期の腹水、胸水、浮腫の治療が困難であることをご理解いただけたと思います。

次は腹水、胸水、浮腫の治療方法についてです。

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腹水、胸水、浮腫に関する記事については、下にある「もっと読んで心を軽くする」という関連記事欄がございますので参考にしてください。

 

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もっと読んで心を軽くする

参考文献
荒金秀樹 2014 悪液質とサルコペニア リハビリテーション栄養アプローチ
特定の病態に対する治療 – 日本緩和医療学会
E.癌性腹水による腹満 | 聖隷三方原病院 症状緩和ガイド
Runyon, Bruce A. “Malignancy-related ascites and ascitic fluid” humoral tests of malignancy”.” Journal of clinical gastroenterology 18.2 (1994): 94-98.
Sadeghi, Babak, et al. “Peritoneal carcinomatosis from non‐gynecologic malignancies.” Cancer 88.2 (2000): 358-363.

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