末期の腹水・胸水・浮腫の治療について

悪液質が原因の胸水、腹水、浮腫は症状を減らすことが治療

胸水、腹水、浮腫の治療について考えてゆきましょう。はじめに申し上げておきますが、ガン悪液質がが原因の場合、胸水、腹水を完全に治すことはできません。

水がたまるということは、ガンの進行状態的に言えば末期なのです。抗がん剤でガンを小さくすれば腹水を減らすことは出来ます。

抗がん剤が効いている限り、腹水や胸水の症状で困ることはありません。

抗がん剤が効かなくなり、腹水や胸水が溜まってくると息苦しさやお腹のハリ痛さという
苦痛を生じることになります。

 

腹水や浮腫を治すことは出来ませんが、適切な治療をしていただくと腹水の重苦しい症状が楽になり、穏やかに過ごせるようになります

残されている時間を楽に過ごせるような治療をしてもらうという考え方でないと、辛さが増します。

ガンによる腹水が認められた場合、生存期間の中央値は20週未満です。原疾患にもよりますが、腹水が認められたら半分以上の方は余命は数ヶ月と予測できます。

腹水と余命に関しては「腹水が認められてからの余命

ガンが原因の場合、完全に胸水や腹水をなくす方法は残念ながらありません。浮腫を良くして歩けるようになりたいという気持ちは大切ですが、その目標は現実味は少なく、症状を軽くしてもらうことに目標を置いた方が穏やかに過ごすことが出来るのではないでしょうか。




具体的な治療方法

  • 利尿剤
  • 輸液を減らす
  • 腹水、胸水を穿刺して抜く
  • 腹水濾過濃縮再静注法
  • 麻薬性鎮痛薬
  • ステロイド

 

利尿剤によって、尿を出すことで血液内のアルブミンの濃度を高くし、胸水、腹水、浮腫が減ることがあります。

利尿剤の効果は一時的ですが、半分ぐらい腹水がなくなれば症状はほとんどなくなるでしょう。わずかでも腹水が減れば、腹の張りが楽になった感じを体感できるようです。

腹水で苦しい時期に多量の輸液も苦しくなる原因なので、輸液は少なめになってしまうかもしれませんが、その方が楽に過ごせるようです。

 

輸液が少なくても余分な水分が蓄えられている状態なので、極端な脱水の心配はいりません。脱水を気にするあまり輸液をすればするほど腹水が溜まり腹が張って苦しくなるほうが問題でしょう。

腹が張って苦しいという段階では、からだの水分バランスが崩壊して来ています。余命一か月の段階では500mLの輸液をすれば十分だと考えられています。

比較的元気な患者に行う中心栄養のような栄養の濃い点滴をしても、悪液質が進行していると肝臓でアルブミンを合成することは期待できません。

 

利用されない栄養や水分は浮腫や腹水を増悪してしまうことになり症状だけが増悪してしまいます。過剰な輸液は喀痰や唾液も増え、終末期のつらい症状が増悪する原因になってしまいます。

 

輸液をしないと腎不全になる心配もありますが、腹水で腹が張り痛いような終末期では
腎不全を心配するのではなく、残りの時間をどれだけ楽に過ごすかということ に主眼をおいて治療を受けるべきだと思います。

栄養が足らなくて不安になるかもしれません。もしかしたら、お医者さんにもっと栄養のある点滴をお願いしたいと思うかもしれません。

栄養を入れてもタンパク質に合成する能力が衰えてしまっている状態では辛さが増えるだけなので、お医者さんはたくさん輸液や栄養のある点滴をしようとはしないでしょう。

 

輸液を減らすだけで、楽になり、自分らしい生活を送れるようになる方が沢山います。

 




胸水腹水を抜くと体にいいの?

胸水や腹水を抜いてもらうと呼吸が楽になったり、お腹が張る症状が楽になります。

胸水や腹水を抜いてもまた溜まるので、症状が楽になるのは一時的ですが、息苦しさ、腹の張る感じや張り痛い感じが減ります。

 

胸水や腹水を抜くと体のほかの部分に溜まっていた水分が、再び胸水や腹水になるということを想像してみてください。

腹水が無くなり、一時的に楽になるが、胸水腹水がまた溜まることは間違いありません。

 

一時的に全身のむくみも軽減するが、全身の水分が急激に抜けます。急に脱水になるため疲労感や倦怠感、強い眠気を感じる方が多いです。

胸水腹水を抜いてしばらくは楽な感じになりますが、半日から一日経つと、強い倦怠感が現れます。腹水、胸水が再び溜まりだすため、またお腹がはったり、息が苦しくなってきます。

容態が悪いときに胸水や腹水を抜くと、血圧が下がり、意識が薄れてしまうこともありえます。腹水はただの水ではなく、いろいろなタンパク質が含まれています。

抜いてしまうと再度胸水腹水が増えたときは、体中のタンパク質が使われて、胸水腹水の 一部となるので、一層消耗することは免れません。

 

胸水、腹水を抜くこと自体が寿命を縮めているかははっきりしていません。

胸水腹水を抜くと一時的には楽になりますが、しばらくして憔悴することは覚悟して抜いてもらいましょう。

 

腹水濾過濃縮再静注法

胸水、腹水をリサイクルする方法もあります。

腹水を一度抜き、腹水の水分を抜いて、濃い腹水を血管内に戻すという方法です。

腹水ろ過濃縮再静注法と呼ばれておりその名の通り、腹水を濾過して、余分な水分を除き、濃縮した腹水を点滴投与する方法です。

こちらにリンクしておいたので参考にしてください↓

http://www.cart-info.jp/

腹水を抜き去るだけの方法に比べ生理的な方法であり、腹水を抜いたあとの疲労感も
少ないことが予想されます。

ガンが治ることはないので腹水濾過濃縮再静注法を行ったとしても、胸水腹水が再発することは間違いないでしょう。

腹水を抜いてから、腹水を濃縮して、点滴で戻すので半日ぐらい時間がかかります。

腹水や胸水を抜いてもらい、濃縮した液を注入してもらうと楽になることは間違いないようです。

しかし、抜いた後、しばらくすると疲労感や倦怠感が生じることから一定の消耗を伴うことも事実のようです。




オピオイド・麻薬性鎮痛薬

腹が張り痛い感じが取れないときはモルヒネなどのオピオイドを使うと、張り痛い感じや息苦しさが減ります。

ガンが進行した状態で腹水自体をコントロールできませんが、、症状を減らすことは可能です。

腹水の症状を取ることに一番効果があるのは麻薬性鎮痛薬のモルヒネやオキシコドンでしょう。モルヒネは痛みにも効くし、息苦しさにも効くし、腹水の張り痛い感じにも効きます。

 

モルヒネやオキシコドンは腹部の張る感じを軽減し、張る感じが軽くなれば、食事を食べれるようになります。

腹水でカエルのようなお腹になっている場合、悪液質も進行しいるので、完全に食欲が戻ることは難しいかもしれません。

張り痛い感じや重苦しい感じが軽くなれば、ずいぶん楽に過ごせることでしょう。

 

ステロイド

コルチコステロイドは炎症を抑え浮腫を軽減することができるので、腹水による腹部膨満感には効果があるかもしれません。

 

胸水腹水はガンの進行の一部であり、治すことはできません。

最期の一ヶ月間は病気と向き合い、症状を減らし、残された大切な時間を過ごしてほしいと思います。

 

症状を軽減し、できるだけ長く、楽に、自分らしい生活を送ってほしいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

腹水、胸水、浮腫に関する記事については、下にある「もっと読んで心を軽くする」という関連記事欄がございますので参考にしてください。

 

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もっと読んで心を軽くする

 

参考文献
荒金秀樹 2014 悪液質とサルコペニア リハビリテーション栄養アプローチ
特定の病態に対する治療 – 日本緩和医療学会
E.癌性腹水による腹満 | 聖隷三方原病院 症状緩和ガイド
Runyon, Bruce A. “Malignancy-related ascites and ascitic fluid” humoral tests of malignancy”.” Journal of clinical gastroenterology 18.2 (1994): 94-98.
Sadeghi, Babak, et al. “Peritoneal carcinomatosis from non‐gynecologic malignancies.” Cancer 88.2 (2000): 358-363.

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