末期ガン患者の余命予測をするにあたり、注目する症状とは?

ガンの終末期を有意義に濃密に過ごすために、残された時間(予後)の予測は重要です。

 

医師は病状や症状から残された時間を判断すると思いますが、ベテランの医師であっても数ヶ月単位の残された時間は予測しづらいと言われています。

後半年ぐらいの命ですと言われていても、大量出血を生じると急に容態が悪化する場合も有りますし、病状の進行が遅くなり、一年、二年と生きる人もいます。

残された命が数ヶ月あるのかどうかの判断は難しいですが、終末期の最期の一ヶ月にはいったかどうかの予測はお医者さんでなくても出来るのです。

他の記事で述べますが、最期の一ヶ月になると「死の兆し」『死の兆候』が現れてきます。

ここから先を読むと余命が期待より短くてガッカリするかもしれません。読み進めると辛い気持ちが強くなってしまうかもしれません。残された命の時間を知りたくない人は読み進めないでください。




余命(残された時間)予測のポイント

①同じ症状でもガンの種類によって余命に差がある

ガンの種類によって病状が悪化する速度、いわゆる進行速度は異なります。

進行の早い膵臓癌で呼吸が苦しくなってきた場合と進行が遅い大腸癌で呼吸が苦しくなってきた場合どちらの方が残された時間が長いと思いますか?

想像しやすいとおもいますが、ゆっくり進行するほうが長く生きる傾向があります。

膵臓ガンのほうがはるかに進行が速いため、「呼吸が苦しい」と言う症状が出た場合、膵臓ガンは大腸ガンよりも余命は短い場合が多いのです。

つまり、同じような症状が現れても、残された時間は違うののです。

 

②痛みの症状が強いから残された時間が短いという訳ではない

痛みが強いと残された時間が短いような印象を受けるかもしれませんが、痛みと予後の関係は必ずしも一致しないと言われております。

痛みはガンが大きくなると生じます。ガンが大きくなって周囲の神経や痛みを感じる部分を破壊すると痛みが生じます。

骨に転移したり、神経に転移すると痛みが強くなります。しかし、骨は肺や肝臓のように直接生命に関わる転移ではありません。痛みが強いから、命が短いという訳ではないのです。

 

たくさんモルヒネを使っているから、残された時間が少ないとは限りません。逆にモルヒネが少ないから余命が長い訳でもありませn。

たくさんモルヒネを使うと命が短くなるって考えている人がいるかもしれませんが、それは間違いです。モルヒネは痛みの程度に合わせ必要な量だけ使う薬です。

末期ガンでも数割の人は痛みがないようです。癌の痛みを感じることなく、おなくなりになる方もいます。

 

③息が苦しくないからといって余命が長い訳でもありません

ガン終末期の症状はいろいろあります。

例えば肺ガンでも、痛みが出る人、出ない人がいます。

不思議なことですが、肺がんの末期で片方の肺が全く機能していないような状態でも息苦しさを全く感じない人もいます。

逆に、肺のレントゲンは割と正常組織が保たれていても、強く息苦しさを訴える人もいます。

最期の数週間になると動かなくなるため、息苦しさが減ります。

肺ガンで余命が数日ぐらいの危篤状態でも息が苦しくなる方と息が苦しくならない方がおり、息苦しさという指標だけでは残された命の時間を判断することはできません。

④体重減少と意識状態に注目する

多くのガンの共通症状として、体重減少(悪液質)と意識の低下があります。この2つに注目すれば、残り一ヶ月間の余命予測が可能です。

体重減少は悪液質と呼ばれるガンにともなう炎症により生じます。どのようなガンでも悪液質は必ず生じます。

余命が一ヶ月以内になると意識障害も必ず現れます。この2つの症状に注目して余命予測をします。

 

⑤ひとつだけの末期症状から残された時間を予測することはしない

お医者さんは、いくつかの症状を組み合わせて余命判断をしています。

悪液質の進行具合や意識状態以外にも、尿ので具合、チアノーゼ、食事量、活動範囲、血液データ、レントゲンやCTなどいろいろなデータから余命を予測しています。

しかし、何度も臨終に立ち会った医師でさえも、残りの人生の時間をピタリと言い当てられません。

 

客観的な予後予測

医学的に客観的な余命を予測する方法があります。ちょっと煩雑で難しいです。

客観的な予後予測法方法として、PaPスコア(Palliative Prognosis Score)やPPI(Palliative Prognostic Index)があります。

PaPスコアで分かることは残された時間が30日以上ある可能性が高いか、21日以下のの可能性が高いかです。

 

PPIはPaPスコアと食事が出来るか、意識の混濁は生じているか、呼吸困難があるか、浮腫があるかを評価し、週単位の予後か月単位の予後かを判断します。

この方法はやや煩雑であり、点数化しなくてはならず素人向けではありません

もう少し簡単な方法がありますので、簡単な余命予測の記事で紹介したいと思います。

 

ガンという病気はゆっくり体力を奪い徐々に死に近づいてゆく病気です。

おおよその展開が決まっているので、残された時間を予測できますが、急変は予測できません。

ある程度の余命予測は出来ますが、ガン終末期の方や家族はガンという病気は急変する可能性もあるということを心のどこかに止めておいてほしいのです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

余命に関して「もっと読んで心を軽くする」という関連記事欄を下に作りました。さらに下にはカテゴリーも参考にしてください。

 

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もっと読んで心を軽くする

 

参考文献

緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法のガイドライン
苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン
聖隷三方原病院 予後の予測
森田達也(編) 2016 続・エビデンスで解決!緩和医療ケースファイル
大津秀一(著)2015 Dr.大津の世界イチ簡単な緩和医療の本―がん患者を苦痛から救う10ステップ
淀川キリスト教病院(著)2007 緩和ケアマニュアル
Evans C, McCarthy M. Prognostic uncertainty in terminal care: can the Karnofsky index help? Lancet 1985; 1:1204.
Maltoni M, Nanni O, Derni S, et al. Clinical prediction of survival is more accurate than the Karnofsky performance status in estimating life span of terminally ill cancer patients. Eur J Cancer 1994; 30A:764.
Gripp S, Moeller S, Bölke E, et al. Survival prediction in terminally ill cancer patients by clinical estimates, laboratory tests, and self-rated anxiety and depression. J Clin Oncol 2007; 25:3313.
Zubrod GC, Schneiderman M, Frei E, et al. Appraisal of methods for the study of chemotherapy in man: comparative therapeutic trial of nitrogen and mustard and triethylene thiophosphoramide. J Chron Disease 1960; 11:7.
Viganò A, Dorgan M, Buckingham J, et al. Survival prediction in terminal cancer patients: a systematic review of the medical literature. Palliat Med 2000; 14:363.
Morita T, Tsunoda J, Inoue S, Chihara S. The Palliative Prognostic Index: a scoring system for survival prediction of terminally ill cancer patients. Support Care Cancer 1999; 7:128.
Subramaniam S, Thorns A, Ridout M, et al. Accuracy of prognosis prediction by PPI in hospice inpatients with cancer: a multi-centre prospective study. BMJ Support Palliat Care 2015; 5:399.

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