3ヶ月以上の余命予測の因子について




自分で残された時間を予測すると、建設的な終活を行えると信じています。

一ヶ月以内の余命の予測に関しては他の余命予測の記事に詳しく解説してあります。

ここでは、3ヶ月の予測因子について解説したいと思います。

 

医学的な知識がなくても、ちょっとした変化を見逃さないように注意深く観察すれば、余命一ヶ月の予測は可能です。

ガンの共通の症状である、筋力低下と意識レベル(頭の機能)の低下に注目して、余命予測を行います。

残念ながら、数ヶ月以上の余命に関しては正確性が欠けてきます。

お医者さんから数ヶ月の余命といわれても1年以上生きたケースは多くはありませんが存在します。

つまり、お医者さんに数ヶ月以上の余命診断をされても、外れる可能性はあります。




 

判断基準の1つに化学療法の適応がなくなった時点

いろいろなお医者さんにお聞きしたのですが、3ヶ月〜6ヶ月以内の余命は分からないというのです。抗がん剤が効いていると、どれぐらい生きるかは「よう分からん」らしいです。

抗がん剤が効かなくなったり、体力的に抗がん剤の適応ではなくなったら、そろそろお別れが近づいてきていると判断されるようです。

化学療法を行うためにはある程度体力が必要です。家で寝て過ごしているような体力の方に、化学療法を行えば命まで奪いかねません。

抗がん剤が出来ないぐらい体力に余力がないということが、余命半年ぐらいということらしいのです。

化学療法ができるかどうかは主治医の先生のさじ加減もあるようですが、一般的に化学療法が出来なくなったら半年から3ヶ月ぐらいのようです。

これは一般論であり、すべてのがんに対しての予測ではありません。化学療法が終わってからどれぐらい生きるかは人によって様々のようです。

進行が早い膵臓癌などは化学療法の適応がなくなって、一ヶ月もしないうちにお亡くなりになる方もいます。

前立腺がんのような進行が遅く、骨転移で寝たきりになりやすいガンは化学療法の適応がなくなってからも何ヶ月も場合によっては何年も生存する方がいます。

 

多くの方はがんと診断されてから長く生きることが出来るということです。逆を言えば、余命の判断が難しいということになります。

一般的な保険適応の化学療法の適応ではない治療法を行い続け、元の主治医がが言った余命よりも長く生きているという話はテレビやインターネットで、耳にするかもしれません。

ちまたに余命が外れた話が存在しているということは、3ヶ月〜半年以上の余命予測は難しいということの裏返しかもしれません。

体重が著しく減少傾向で、悪液質が進行してきているような場合の余命予測は外れることは滅多にありません。




お医者さんから告知される3ヶ月はわざと短く言っている可能性がある

 

これはあまり言われていないことかもしれません。

お医者さんの多くは自分が思っている余命よりも短い時間を言うという傾向があります。

余命がハッキリしない場合は短めを言うことがあるということを心に留めておいてもよいかもしれません。

 

お医者さん達でも何ヶ月も後ことを明確に判断することは難しいのです。

血液検査等で致命的な異常値が出てこないとハッキリしたことは分からないと言います。

 

もしあなたがお医者さんだったら、目の前の患者を前にして余命を長く言いますか?それとも短く言いますか?

 

長く言うと短くなった時の絶望が大きいため、基本的には短めの余命を言うことが多いようです。

短く言っておいて長くなれば問題は少ないという考えです。

もしわたしががん患者を目の前にした医者なら、きっと短く余命を告げると思います。

短い時間を告げられた時は不幸かもしれませんが、余命宣告よりも短命だったと言ってクレームをつける家族はいるかもしれませんが、余命宣言よりも長生きしてクレームをつける患者も家族もいなさそうだからです。

 

皮肉的な見方をすれば、短めに言った方が、がんの治療をしてくれる可能性が高くなる可能性がありますよね。

「治療をしないと余命は3ヶ月だけど、治療をすればもう少し長く生きられるよ」というような感じで…。

5年生存率は3ヶ月以上前の余命予測に関する予後因子にならない

ガンは診断時にどれぐらい病気が進んでいるかステージング(病期診断)を行います。初期診断時のステージによって5年後にどれぐらいの確率で生きているか想定できるようになります。

5年相対生存率というデータをもとに、癌の発生場所とステージでどのような経過をたどるのか概ね想定できるわけです。

がんの統計’16から引用

 

この情報は、がんと診断された時点での予想です。例えば、5年生存率が50%と診断されたとします。その方が4年9ヶ月生存したのに、さらに3ヶ月後生きている可能性が50%とはなりませんよね。

5年生存率は残り3ヶ月の命を予測する因子にはなりません。

 

悪液質・やせが進行していないならキセキが起きるかも…

ガンが原因で痩せが進行した人や意識障害が現れている人たちの余命判断、予後予測が外れることは滅多にありません。

しかし、痩せが著しく進行していないのであれば、奇跡は起きるかもしれません。

余命3ヶ月と言われてからも何年も生きる可能性はありえます。

わずかですがキセキは起こりえる段階です。少しでも自分らしく長く生きれたら最高ですよね。

抗がん剤の適応がなくても、あきらめず、効果が期待できそうな治療を選択することは、あなたの人生にとって有意義なことかもしれません。

わたし自身の考えですが、残された時間を積極的な治療に使わず、家族や自分のために過ごすという選択は素晴らしい決断だと思います。

 

「余命3カ月」のウソ (ベスト新書)は大変興味深い本です。ガンと診断されてから、治療に望むにあたり1つの考え方を示唆してくれます。がんを放置し、自然な死を迎えるのは如何なものかと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。当サイトには余命に関する記事がたくさんありますので、お役立てください。

参考文献

国立がん研究センター・がん統計
緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法のガイドライン
苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン
聖隷三方原病院 予後の予測
森田達也(編) 2016 続・エビデンスで解決!緩和医療ケースファイル
大津秀一(著)2015 Dr.大津の世界イチ簡単な緩和医療の本―がん患者を苦痛から救う10ステップ
淀川キリスト教病院(著)2007 緩和ケアマニュアル
Evans C, McCarthy M. Prognostic uncertainty in terminal care: can the Karnofsky index help? Lancet 1985; 1:1204.
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