ガンの死に方をイメージできますか?
ガンという病気でどのように死んでゆくのかイメージしてみてください。
多くの方は死ぬまでの過程をイメージができません。みたことがないから当たり前かもしれません。
老衰をイメージしてみてください。年齢とともに体が衰え、筋肉が減り、ほっそりし、だんだん動けなくなり、縁側でお茶を飲んでいるとき、ゆっくり命の炎が消えてゆく。そんなイメージではないでしょうか?
ガンも概ね同じような死に方をします。ただ、衰えの速度は速く、臨終に向かい加速度的に衰えが進行するイメージです。最期の一ヶ月は日に日に衰えの速度が速くなります。
昨日までできたことが今日はできない。そんな感じで衰えます。衰えて死にます。
ガンによる死に方をイメージができるようになることが、終末期を過ごす方、家族にはとても重要な知識です。
衰えて死ぬケースがほとんどですが、時に急変がある
ガンによる体の衰えは進行性であり、「あとどれぐらい生きられるのか」をある程度予測することができます。
ガンと宣告され、死を意識するようになったとしても、急に死ぬわけではありません。
末期であっても出血や腸穿孔、痰づまり、肺炎などの大きなイベントが生じなければ、悪液質の進行とともに生命の終焉を迎えるでしょう。
他の記事でも述べましたが、ガンに侵されている限り突然の出血や予測不能な事態が生じる可能性はあります。
数か月以上余命はあると判断していた人が、突然の消化管からの出血で急死する可能性があります。
辛いことですが、終末期に適切な医療を受け、穏やかに過ごしてていたとしても、余命予測から外れ、穏やかな最期にならないこともあります。
ガンによる死は穏やかであるといわれます。しかし、突然の別れになってしまうことはあまり知られていません。
周囲の人間は、「日に日に衰えてゆく患者の支えとなること」と「突然の別れが来るかもしれない覚悟」をして、残された大切な時間を過ごすべきだろうと思います。
日に日に衰える患者の支えとなる
筋力が衰えるため、トイレや食事など簡単な日常生活にも支障が出てきます。
ガン悪液質による筋肉の衰えは予防できないし、治療も難しいとされています。
薬物療法、栄養療法などが考えられていますが、現段階では筋肉の衰えを治療するより、弱まってゆく筋力に適応する方法を考える方が現実的です。
悪液質による衰えは相当速く、筋力強化のリハビリや栄養療法、薬物療法による効果が出るまでの余裕はありません。
筋肉トレーニングの効果は何ヶ月も行って結果が出てきます。コツコツ貯めた筋肉を悪液質は根こそぎ持っていく盗賊のようなものです。
悪液質の進行の速度にトレーニングの成長速度がは追いつかないのです。
衰えに対しどう対抗すればいいのか?
筋力の衰えによりできなくなったことを①周囲の人(家族、医療関係者)で補うか、②工夫するか、③あきらめるかの3つです。
自分の足で長い距離を移動できなくなったら、家族に移動を手伝ってもらうか、車いすや杖を使うか、移動を必要最小限に抑えるかってことになります。
ガンが進行すれば、当たり前のこともできなくなっていくんだと理解しておきましょう。家族ができることは、患者の体と心の支えになることだと思います。
衰えてゆくことから目を背けず、見守る覚悟が必要です。最後は見守るしかありません。
突然の別れになることに備える
がん患者の10%は予測しない死を迎えてしまうと言われています。
わたし自身も、ガン患者たちと会うときは「次、会えるとは限らないので、今日が大切な日になるようにしよう」といつも心にとめています。
病気が進むにつれ、だんだん話をする時間が減ってくると、家族としてもお別れが近づいているという覚悟をするようになります。
まだまだ元気なガン患者の場合、イライラや不安を家族にぶつけてくるため嫌な気分になることも少なくないでしょう。
特に一緒に暮らしている家族の場合、距離感が近く患者自身が言いたいことを言うため、家族の精神的な負担が大きくなりがちです。
ガン患者の不安な気持ちを聴くだけで、周囲の家族も鬱鬱とした気持ちになります。
しかし、衰えてからお別れを覚悟するだけでなく、ガンはいつ急逝してもおかしくないということを毎日心の片隅におきながら、毎日を過ごしたほうがいいです。
心の準備なく突然家族が失われると、喪失感による深い悲しみから立ち直るために時間がかかってしまいます。
もし、あなたが、イライラを患者にぶつけた日に、お亡くなったりすると深い悲しみや罪悪感から抜け出せなくなります。
実際そういう人の話を聞いたこともあります。たまたま母親と喧嘩してしまった後に母親が急変したというケースです。母親との喧嘩と急変は偶然が重なっただけですが、長い間、罪悪感で苦しんでいます。
一日一日が後悔のない日になるように、大切に時間を過ごしてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
コメントを残す