最期の一週間
余命予測をすれば、前もって心の準備(心づもり)ができます。大切な人とお別れしなくてはならない家族や介護をする方にとって重要な知識なので、よく理解しておきましょう。
最後の一週間に生じる症状を正しく理解しておけば、あなた自身戸惑わず、自然とお別れを受け入れられるようになります。
残された時間が数週間になると、極度に筋力低下してしまい、座る、立つなどの簡単な動作も時間がかかるようになります。
残された生存期間(余命)が2週間前ぐらいから、様々な日常的な活動が制限されます。他人に力を借りないと生活に不自由します。移動は特に症状が現れます。余命3週間ぐらいまでは自力でトイレに行けても、2週間前になると自力でトイレに行けなくなるケースが多くなります。
要するに排泄をオムツするようになります。ベッドの上で排泄をするため誰かの力を借りないと生活が不可能になってきます。
ここからが肝心な一週間の説明になります。
残された時間1週間になるとトイレに行けないなどの不自由さに加え、だるさやせん妄などの辛い末期症状が強くなってきます。そのような症状が見られたら、そんなに長くはありません。
生活が不自由になり、治療の難しい末期特有の症状が強くなってきたら、残された時間は長くありません。
最後の一週間の様子とは
まずがん患者の最後の一週間の大まかなイメージを理解しておきましょう。
筋力低下のため移動をほとんどしなくなり、自分で自分の体の向きを変えることも出来なくなります。ほぼベッド上の生活です。
起き上がるために他人の力が必要になる場合もあります。浮腫や胸水が溜まるため、24時間座って過ごす方も少なくありません。少し動いただけで息苦しく感じるようになり、酸素マスクをつける方が多いです。
ベッドの上で過ごしているだけなのにだるさを訴えます。寝ている時間は長いのですが、熟睡感が得られず不眠を訴えます。
食事は数口で満腹感を感じます。食べなくてはならないと思っても何も食べれません。
つじつまの合わない訳の分からないことを言ったり、幻覚が見えたりします。
これが最後の一週間の状態ですが、話ができないわけではありません。難しい話や判断はできませんが、簡単な意思の疎通は最後の数日までできます。
次に最後の一週間で強くなる症状をそれぞれ理解していきましょう。
最後の一週間で強くなる症状を羅列
- だるさ
- 食べれない
- 足が像の足のように膨れる(浮腫)
- 胸水、腹水が増える
- 痛み
- 便秘
- 不眠
- 息苦しさ
- 不安の増強〜軽減
- せん妄(意識レベルの低下)
これらがん末期に現れる共通した症状は数ヶ月ぐらい前から現れ、臨終に向かい強くなるといわれております。
症状は1つではなく、複数生じることが一般的です。
最後の一週間になると治療の効果が現れにくい「だるさ」、「息苦しさ」「食欲低下」が強く現れる印象です。
最後の数日で現れる症状は記事の最後の関連記事欄に載せておきました。参考にしてください。
だるさ・全身倦怠感・筋肉減少
腫瘍が大きくなればなるほど、異常な体重減少が進行します。最後の最後まで体重や筋肉は減り続けます。
異常な体重減少は筋力低下を引き起こすだけでなく、食欲低下、体のだるさを生じます。最後の数週間ぐらいで食事ができなくなり、最後の一週間はほとんど食べれず、体のだるさが強くなります。
余命一週間の時点が「からだのだるさ」のピークです。健康な時に感じるだるさとは比べ物にならないほど強いだるさのようです。起きているだけで、「体がだるくて死にたくなる」ような感覚だと言います。
余命一週間の時点のからのだるさは、人によっては「死なせてほしい、殺してくれ」と願うほど辛いようです。
だるさに対する治療法にステロイドがあります。ステロイドが効果があるのであれば余命は一週間以上あるでしょう。ステロイドの効果がないようなだるさを訴える場合、残されている時間はそれほど長くありません。
だるさの症状が極度に辛い時は、眠るしか症状を消す方法がなく、鎮静を選ぶ場合もあります。
想像を絶する辛さであり、見守るほかない。家族のサポートが重要。
症状を和らげるためにスキンシップやマッサージが有効です。
食べれなくなる
おおよそ余命の2週間前になると、食事が出来なくなります。食欲低下と食べる力が減退するためです。
余命一週間の頃は、ほとんど食べ物は口にしません。氷やアイスクリームなど口当たりが冷たいものは口にできるかもしれません。飯はほとんどの方は口にすることすらしようとしません。
これも自然の流れです。流れに逆らい、無理に食べると気持ちが悪くなります。寄り添うしかありません。
水分すら口にしなくなったら、数日しか残された時間はないでしょう。
治療困難な浮腫(むくみ)
おへそより下で発生するがん(卵巣癌、子宮頚がん、子宮体がん、大腸癌など)は足の浮腫(むくみ)が強くなり、ゾウの様な足になります。指ですねを押すと、指の跡が残るようになり、今まで履いていた靴が履けなくなります。
栄養状態が悪化していることと、足からのリンパの流れが滞ることが原因です。末期に近づくと、脚の浮腫が強くなってきます。特に余命一週間のころは、足が太くなりすぎて自分の力で足を動かすことも出来なくなることがあります。
余命一週間前であれば、マッサージや体位の工夫で浮腫の張り痛さを軽減することができますが、一週間を過ぎると浮腫が改善することはほとんどありません。
腹水・胸水が抜けなくなる
臍より上、横隔膜より下で発生する癌(胃がん、膵がん、肝臓がん、卵巣癌など)の場合、腹水や胸水がたくさん溜まるようになります。
腹水による腹部の張り痛さは辛く、利尿剤や麻薬性鎮痛剤で苦痛を軽減することは出来ますが、完全に症状が消えることはありません。
胸水や腹水を抜いてもらうことで症状が軽くなります。しかし、体のタンパク質を排出することになり、体力を奪います。つまり、体が痩せてしまうのです。
症状を取るために胸水、腹水を抜ける状態ということは、まだ余力が残されており、余命は一週間以上あると思われます。
病状が悪くなり、胸水や腹水を抜くと血圧が低下しそうな場合は、水を抜くことはできません。このような状態の場合余命はそれほど長くないでしょう。
頭の症状(せん妄・意識レベル低下)
余命一週間を切る頃には、頭の機能低下の症状が目立ってきます。
余命一ヶ月を切ると注意力が低下し、テレビを見たり、新聞を読んだりしなくなります。
さらに頭の機能が低下し、余命が一週間を切る頃になると、つじつまの合わないことを言うことがあります。ベッド上の生活なのに、「出張に出かける」とか「弁当を作る」などの発言をします。本人にとってすれば、間違ったことを言っているつもりはないので、否定せず、話を合わせてあげてください。
ちょっとおかしいな?と思ったら、日付や場所を質問してみてください。的外れな回答をするようであれば、頭の機能が相当低下してきています。
人によっては幻覚を見ることがあります。夜中に知らない人がお見舞いにきてくれたとか、少年が病室に立っているとか、犬が部屋にいるといった幻覚をみるようになっているかもしれません。これをせん妄と言います。
つじつまの合わない発言は脳の機能が低下してきているサインです。否定せず話を合わせてください。
余命一週間で訴えが減る症状
臨終に向かい、癌自体が大きくなると痛みが強くなる傾向があります。余命一週間ぐらいが痛みのピークになります。一週間を切ると、意識状態が悪くなり、痛みの訴えが減っていきます。
余命一週間を切った頃に現れにくく、余命数日で現れる症状もあります。そのような症状には尿が出ない、チアノーゼ、言葉にならない声を出す、だるさが楽になる、眠ったままになるなどがあります。
まとめ
余命を一週間を切ってしまうと、自力で移動、排泄、食事、着衣・脱衣、入浴を行うことはほとんど出来ません。
さらにだるさ、つじつまの合わない言動や幻覚、食べれないなど末期特有の症状も悪化してきてくるでしょう。
このような時期は、家族の支援が必ず必要になります。病気の本人が何も出来ずに困ってしまうのは1〜2週間の間だと思います。この時期はお別れの準備期間としても大切な時間です。
ご家族がその期間は出来るだけ時間を作れるように予め準備しておくと、ジタバタすることなく落ち着いた気持ちで過ごせると思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。このサイトには他にも余命に関する記事があり、役に立つと思います。参考にしてください。