緩和ケアを有効利用するために知っておくこと




緩和ケアといわれると、死を連想してしまいがちです。

化学療法の治療効果が上がらず、体力的にも化学療法の適応から外れると、緩和ケアを紹介されるパターンが多いのが現実です。

手の施し用がない人が行くところ=緩和ケア

というイメージが蔓延しています。

あながち間違ってもいませんが、もっと有効な緩和ケアの利用方法がありますので紹介します。




緩和ケアでは何が行われているのでしょう?

以前「緩和ケアの役割」という記事で書いたことですが、緩和ケアには大きく分けて2つの役割があります。

一つは痛みなどの症状を適切に緩和する役割です。

緩和ケアでは化学療法のような体力を奪い、ガンを小さくするような治療は基本的にしません。がんの辛い症状を和らげる、「緩和治療」をメインで行います。

緩和医療を専門としているお医者さんは、ガンの辛い症状である痛みや息苦しさを上手にコントロールしてくれます。難しい痛みであっても、うまく痛み止めを処方できる先生に診てもらえれば、日常生活を送ることが出来ます。

痛みのコントロールなんて、どんな医者でも同じなんて思っていてはいけません。手術が得意でも、薬のコントロールが上手とは限りません。いい医者を捜すのは患者の大切な役目です。

 

ケアというのも分かりにくい言葉です。ケアとは「困っている人をお世話すること」です。決して難しくありません。ケアは誰でもできます。私たち一般人でも他人をケアすることは可能です。

具体的に緩和医療でのケアとは、食事の手伝い、車椅子への移動、オムツを替えるな介護的な支援と話を聞くなどの心の支えとなることを指します。

ケアは看護師さんでなくても出来ます。看護師はケアのプロなので当然上手です。

ガンの末期になると治療よりも、日常生活の困っていることを助ける方がになります。悪液質が進行し、様々な日常動作に支障が生じてきます。

悪液質の日常生活への支障は下の記事を参考にしてください。

苦しみ

がん悪液質による苦しみについて知っておこう

2017年12月28日

自分らしく生きるために緩和ケアを利用する

緩和ケアでよく言われている「自分らしく過ごす」というのもわかりにくい言葉です。哲学的な言葉であり死生観も関わってくるので難解な語句です。

「自分勝手に暮らす」という意味ではありません。ざっくり申し上げますと「他人の手を借りず、自分のことは自分でやって生活する」という意味です。

ガンが進行し筋力低下が強くなってきたら、普通に生活でず、ベッドで寝て過ごすことが多くなります。トイレも自分で行けなくなります。トイレに歩いて行きたいと思っても、だれかの助けがなければ、おむつの中に排泄しなくてはなりません。自分がやりたいことを出来なくなっています。自分がやりたいことが、出来なくなってしまうと、生き生き出来ないです。

緩和ケアで言われている、「自分らしく過ごす」というのは、移動、食事、服を着たり脱ぐこと、入浴、排泄などの身の回りの基本的な動作を自分がやりたいようにやるという意味です。

身の回りの基本的な動作を自分が好きなときに出来なくなると、プライドが傷つき、苦痛に感じてしまいます。

 

まとめますと、緩和ケアでは、痛みや息苦しさなどの症状を和らげる医療行為できるだけ自分らしく過ごすためのお世話が行われています。




緩和ケアを早期から有効利用

ガンと診断されてから、早い段階から緩和ケアを利用した方がいいといわれています。なぜ、痛くもないのに緩和ケアに行かなくてはならないのか腑に落ちません。

最期の時だけ世話になるというのであれば、早期から緩和ケアに行く必要はなさそうです。

早期から緩和ケアを行うと、痛み等の症状に対して素早く対応してもらえるというメリットがあります。

もう1つのメリットは、本人や家族が望む最期、介護などで無理のない最期を迎えるための方法を考える機会になります。

早期から緩和ケアを利用したいと考えている方は、緩和ケアを利用する前に、どのぐらいの生活制限がでるまで自宅にいるのか?を考えておく方がいいです。

最期まで自宅で過ごしたいと考えている方は、良い在宅医師といざという時のための病院は安心して過ごすために必須ですので、しっかり探しておきましょう。

自宅で過ごすしていても、急に容態が悪くなった場合は緩和ケアの先生や看護師にお世話になることがあります。紹介してもらっておくことで、いざという時、困ったときに助けてもらいやすくなります。いつでも相談に乗ってくれる訪問医師といつでも入院させてくれる緩和ケアの病院があれば、安心して自宅で療養できます。

早期から緩和ケアのアプローチがあると寿命が伸びるかもしれないという研究があります。(Temel JS, et al: N EngJ Md, 363(8):741,2010)早期介入は悪いことではなさそうですね。

お世話になる病院で詳しい相談をしてみてください。

 

緩和ケアの利用方法について、ここまで読んでいただきありがとうございます。

緩和ケアに関しては他のサイトの方が専門的に詳しく書いてあります。

緩和ケアの関連記事がありますので参考にしてください。

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