末期症状のだるさについて
元気なときは、「ちょっと今日は疲れた」と思ってもちゃんと睡眠さえとれば疲労感は改善します。
がんが進行すると、眠っても体のだるさが取れにくくなります。逆に、体がだる過ぎて眠れなくなることさえあります。
終末期では、ベッドで寝ているだけの状態になっても、体のだるさのため、充実した眠りを得ることが難しくなります。
がんに伴うからだのだるさは、インフルエンザの強烈な発熱のときに感じるだるさに似ているようですが、程度も質も強烈だといいます。
末期がん患者は毎日「調子がよくない」という感じが続きます。体のだるさが抜けない状態のすっきりしない日が毎日続くようになります。
余命が1週間ぐらいになると、堪え難いほどのだるさが襲ってきます。何をしていてもだるくて何ともならない感じなります。若い人ほど、堪え難いだるさは強い傾向があります。
がん患者で痛みがなく終末期を過ごす方はいますが、だるさを感じず終末期を過ごす人は一人としていません。
ガンによる「だるさ」を疲労のような表現をされる場合もありますが、「身の置き所がない辛さ」と表現される場合もあります。
「だるさ」のも悪液質の症状のひとつです
筋力が低下し、自分の手足が重くなって動かすことが難しい状態を想像してみてください。
がんの進行と伴に、全身の筋力が落ち、腕や足に水が溜まり重くなり、自分の手や足が重く感じるようになります。
手足が重く感じるようになったら、あなたの気持ちはどうなるでしょう?
元気なときでも、疲れると、体が重く、だるく感じませんか?
がんが進行し、全身の筋力の衰えに合わせるように、体がだるくなり、元気がなくなってきます。
「元気」とは不思議なもので生命力が旺盛なときはどこからともなく現れて、気持ちを上向きにしてくれるが、体の不調があったりすると元気はどこかへ消え、気持ちは萎えてしまいます。
元気がなくなれば食欲もなくなります。痩せ衰え、食欲がなくなる状態を悪液質といいます。
最期の一ヶ月間になると、「元気」が出ず、「だるさ」が頻繁に現れるようになります。
体がだるくなると心もぐったりしてしまいます。
ガンの闘病生活の最終段階で生じる「体のだるさ」は、死にたくなるほど辛い苦痛だといわれています。
多くの末期患者が臨終に近づき、体のだるさが強くなると、「早くこのだるさから抜け出したい。早く終わりにしたい。」と言うようになるので、強烈な苦痛であることは間違いないでしょう。
だるさの特徴
体のだるさには波があり、一日のうちで楽になったり、辛くなったりするという特徴があります。
だるさは死期に近いほど強く長時間続くようになる傾向があります。死ぬ数日前までは強く体のだるさを訴えます。
しかし、余命数日前になるとだるさを訴えなくなります。
余命1、2日前になるとしっかり起きていることができなくなり、眠っている時間が増えてくるため「体のだるさ」を感じなくなるようです。
死期の1、2日前に患者に質問すると、「だるさが少し軽減した」という発言が多くなり、「死にたいほどだるい」と言われていた方も最終的には穏やかに死を迎えます。
「だるさ」に対する治療方法は難しい
ステロイドの投与により一時的に元気を取り戻すことが可能です。しかし、効果がいつまでも続かないようです。
ステロイドには副作用がありますが、残された時間と効果のメリットを考えてお医者さんが使ってくれます。
だるさに対する薬物療法は限界があり、日常生活のリズムを付けることがだるさ軽減に役立つようです。
身体を動かすことが、患者の日常生活における自律性を維持することにつながることがある。しかし、患者の負担になるような運動は避ける。休息と運動のバランス、活動と睡眠のリズムを把握し、患者に合わせた個別的な対応が望ましい。
日本ホスピス財団のサイトより引用
先ほども述べましたが、だるさには波があります。だるい、死にたいと言っていても数時間後にはケロリとしている方もいるので、見守るという方法も1つの治療法です。
マッサージ
だるさに対しては、治療よりもマッサージや温浴、体の位置を変えたり、ベッドの向きを変えて気分転換を図る等のケア(支持療法)が効果的な場合も多く、患者のそばにいて気持ちを支えるケアが重要になってくると考えられているようです。
家族によるマッサージについては「末期がん患者の家族がベッドサイドでマッサージすることのススメ」という記事に書かせていただきました。
家族によるフットマッサージやハンドマッサージは患者のだるさを軽減する最良の方法でしょう。家族も見守る辛さから解放されます。ぜひマッサージを施してほしいです。
末期がん患者の家族がベッドサイドでマッサージすることのススメ
だるさに対する医学的な治療は限界があります。すこしでも楽に過ごせるように工夫するケアが大切だと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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