ガン末期の2大症状の1つである息苦しさを和らげる治療方法




息苦しさの治療にはモルヒネが最もよく効く

たびたびこのサイトで記載していますが、終末期(癌末期)の治療にはモルヒネがとても有効です。モルヒネには痛みを和らげる作用だけでなく、咳や息苦しさを和らげる作用があります。

モルヒネ以外にもオキシコンチンやフェンタニルなどのオピオイドがありますが、呼吸困難に関してはモルヒネが良く効くようです。(1)

モルヒネって痛みに対する薬じゃないのか?と疑問に思われる方も多いでしょう。

モルヒネを必要以上に使うと呼吸回数が減ります。

私たちの体は血液内の二酸化炭素のが増えると苦しいと感じ息を吸うのですが、モルヒネの血中の濃度が高すぎると苦しいと感じないため息を吸わなくなります。(2)

つまり、モルヒネには苦しいと感じにくくする作用があります。

痛みを抑える量よりも少ない量で苦しさを軽減できると言われていますが、多くのがん患者は痛みと息苦しさが同時に生じるので、痛みに合わせた投与量の設定をするでしょう。

息苦しい時にモルヒネを内服しても効果がありますが、持続的に皮下や静脈に投与すれば、血中のモルヒネ濃度を一定にでき流ので、呼吸苦には効果的のようですz

麻薬性鎮痛薬以外の方法

モルヒネ以外にも息苦しいと感じた場合の治療方法には酸素、抗不安薬、 ステロイドなどがあります。

息苦しさの原因に不安があるとしたら、精神安定剤などの抗不安薬はとても良いチョイスをしてもらっています。機序はよくわかりませんが、不安が息苦しさの原因でなくても抗不安薬を極少量投与すると息苦しさを軽くする作用があります。

心が落ち着くことで呼吸が楽になるケースは多いようです。

ステロイドは炎症を抑える作用があり、呼吸を楽にしてくれます。ステロイドは感染や精神症状などの副作用が心配な薬剤かもしれません。息苦しさは耐え難い症状であり、息苦しさを軽くするためにはステロイドは必要な薬だと思います。

鼻マスクや口マスクから酸素を吸うと呼吸が楽になることがあります。

 

原因が筋力低下や肺の炎症に伴うものであると完全に息苦しい感じをとることは難しいようです。適切なお薬や酸素投与により息苦しい感じを軽減させることは出来ることを知っていただきたいと思います。




モルヒネには悪い循環を止める作用が期待できる

モルヒネは呼吸の苦しさを軽減しますが、病気が良くなっているわけではありません。本来息苦しく感じる感覚を緩和しているだけです。しかし、悪い循環を断ち切る作用があります。

息が苦しくなると、一生懸命呼吸をしようとして全身の力を使って息を吸おうとします。体力の少ない末期の患者が一生懸命息を吸おうとすると体力を消耗すれば、さらに息が苦しくなります。

息を吸うことが息苦しさの原因になってしまうという悪いスパイラルが生じてきます。

モルヒネを投与し、息苦しさが減れば、肩で息をするようなエネルギーを使う呼吸を避けれます。体力消耗の悪循環を断ち切り、疲労が減れば、穏やかに過ごせるようになるでしょう。

息苦しさを取ると疲労が減るため、ずいぶん楽になります。

非薬物療法

呼吸方法のリハビリなどの非薬物療法があり、医学的にも効果があるようです。しかしこれらのエビデンスは推定される余命が1年以上の人を対象にした研究であり、人生の最終段階でリハビリは意味がないと感じています。

 

 

治療が難しい段階の息苦しさ

しかし、死の直前になってくると、だんだん薬が効かなくなってきます。

寝ているだけなら、苦しさを感じることがない場合、患者はほとんど動こうとしません。起き上がり、水を飲むだけでも息苦しい感じがすることでしょう。

最終段階では、強い全身のだるさ(倦怠感)も生じ、息苦しい感じと相まって身の置き所がない状態になります。

 

全身がだるく、動くだけで息苦しさが生じてくるため、何もできなくなります。

段々動くことを避けるようになり、ベッド上で寝返りを打つことすらしなくなります。癌の最終段階は、他者の手を借り、体を起こしたり、寝返りを打ったりすることが必要な時期が必ずきます。

話をすることすら息苦しく感じてしまうのです。「辛い」と言うことすら辛いぐらい息苦しい方もいます。

息苦しさは不安を引き起こします。ガンの最終段階では物理的な支援だけでなく、精神的な支えが必要になります。

支援、支えのことをケアといいます。ガンの最終段階では薬も効かない時期が訪れます。このような時、身近な方のケアがあるとないとでは、随分と違った終末期となります。

息苦しさの治療には酸素やモルヒネ、安定剤だけでなく、家族によるケアがとても重要になってきます。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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参考文献
  1. 日本呼吸器学会 COPD ガイドライン第 4 版作成委員会,編.COPD 診断と治療のためのガイ ドライン.4 版.東京: 日本呼吸器学会; 2013.
  2. がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン 日本緩和医療学会 2016
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2 件のコメント

  • はじめまして。先月、87歳の父を胃がんで亡くしました。二年半前に胃を全摘し、その間は自宅で過ごしておりました。入院する日の朝も、少し食べられないからと検査を受けた結果、余命一ヶ月を宣告され家族皆大変なショックを受けました。水も飲めず点滴だけの状態で、声が出なくなり呼吸が苦しかったり痰が出始めたりと家族が病院で付き添い、医師に伝えることしか出来ませんでしたが、その都度医師は、最善の対処をしてくれたと思います。少し落ち着いてから本サイトを知り、読み進むうち、全く同じ症状が記され、静かに眠るよう旅立った父が、どの様に考え感じていたか、家族の有り方等、いろいろな視点から考えさせられました。ありがとうございました。

    • 大切な人を失った悲しみを埋める気の利いた言葉は持っていません。このサイトに来ていただいたことで、気持ちが軽くなったとしたら、冥利に尽きます。コメントしていただき、感謝いたします。

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    死生観、終末期、緩和ケアの研究してます。死の過程の知識を深め、家族の力をアップし、医師とコミュニケーションを取り、医療サイドと家族サイドの見解を一致させることが終末期を穏やかに過ごす要素だと信じております。