あとどれぐらい生きられるのか簡便に予測する方法




簡単な余命予測の方法

ガンには様々な種類があります。胃癌、肺癌、乳癌、大腸癌、膀胱癌などなど。おおよそ29種類ものガンがあると言われています。

ガンの症状は発生場所に依存する傾向があります。例えば胃ガンであればお腹が痛むとか食事の通りが悪くなる症状が出てくるでしょう。

ガンが進行し、人生の終わりに近づくにつれてかならず悪化してゆく共通の症状があります。

それは全身が痩せ頭の機能の低下の症状です。

痩せ

多くのガン患者が痩せてくるのはご存知だと思います。痩せの程度と余命は強い関連があります。体が痩せてしまうのは、悪液質が原因です。

「悪液質」は聞き慣れない言葉かも知れません。

悪液質とは栄養の吸収障害体のタンパク質の異常代謝により筋肉や脂肪が減少してしまう状態です。痩せが命に関わると言われてもピンと来ないかもしれません。

飢餓が命に関わるのは理解していただけると思います。ガンが進行し、悪液質が進めば、全身が飢餓状態になっていきます。

 

悪液質になると食事ができなくなり、栄養を体に取り込めなくなります。取り込んだとしても体の中で筋肉を作れない状態になっています。

悪液質になると、腕や足の筋肉だけでなく、あらゆる筋肉が落ちます。手足の筋力が低下すれば、様々な活動に制限があらわれます。

姿勢を維持する筋肉が落ちれば、まっすぐ立つ姿勢の維持や、座っている状態を保つことが難しくなります。日常生活が困難になっていきます。

食道の筋肉など飲み込みに関わっている筋肉が減れば、食べたり飲んだりする動作ができなくなります。

さらには生きてゆくための呼吸という動作までが制限されてしまいます。

頭の機能の低下

頭の機能の低下は意識障害の症状としてあらわれます。全身の衰弱にあわせ、頭の機能も低下します。

がん末期で全身が衰弱しない人はいませんので、意識障害は必ず現れます。頭の機能が低下し、意識障害が現れるのは残された時間が1ヶ月を切ったあたりからです。

意識障害といってもいきなり意識がなくなるわけではありません。意識障害は段階を経て昏睡に至ります。

段階を観察すれば、余命予測ができます。時に、急変して昏睡に至る場合もありますが。

まず、筋力低下による予後の判断方法をお話しします。

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悪液質による余命予測

がんの進行に伴う筋力低下は手足だけにとどまりません。呼吸、嚥下、排泄など生きてゆくために必要な筋力も低下していきます。

食事が減ってきたら、余命は一ヶ月ぐらい

全く食べれなくなったら余命は数週間ぐらい

筋力が低下し自分でトイレに行くことができなくなったら余命は数週間ぐらい

これは大まかな予測であり、体調によって波があるかもしれません。食べるという動作には様々な要素が関わっており複雑です。機能的に食事ができたとしても、食欲がないと食べれません。食欲があっても、食べる能力がなければ食べれません。

必ず全ての方に当てはまる予測方法ではありませんが、明らかな原因なく食べれなくなった方の予測には役立てると思います。

 

頭の機能低下による余命予測

頭の機能が落ちてゆくと意識レベルがゆっくり低下してゆきます。

残された時間が一ヶ月を過ぎると頭の機能が低下が症状として現れます。この頭の機能の低下の症状は残された時間を客観的に判断する指針となります。

急に頼りなくなったり新聞が読めなくなったら余命は3週間程度でしょう

わけのわからない発言が多くなったら余命は2週間程度でしょう

本来見えないものが見えるようになったら余命は1週間程度でしょう

寝てばかりいるようになったり、声をかけないと目を開けなくなったら余命は数日でしょう

 

その他の末期ガンの余命予測症状

他にも余命を判断する要素はいろいろありますが、悪液質の進行(筋肉量の低下)頭の機能低下がわかりやすく、正確です。

その他の比較的分かりやすい余命予測因子にチアノーゼがあります。手足が青紫色になると余命は数日だといわれています。

尿が出なくなると余命数日です。

浮腫、呼吸困難なども余命予測因子であると言われています。足に改善しない浮腫が生じてくると栄養状態が悪くなっているので、残された時間は数週間以内の場合が多いことも知られています。

 

呼吸困難が生じると予後は一ヶ月以内ということも言われていますが、不安による呼吸困難などもありイマイチ正確さに欠けます。

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まとめ

ガンという病気は、悪液質が加速度的に進むため余命一ヶ月を切ると関を切ったように様々な生活制限が生じてきます。

急激に体力がなくなり、食事ができなくなり、動けなくなり、様々な末期症状(痛み、息苦しさ、気持ち悪さなど)も表れ、苦痛が強くなることが予測できます。

最期の一ヶ月間、急に日常生活に制限があらわれた患者を、肉体的、精神的に支えてゆくことで苦痛を減らすことができます

多くの患者は日常生活に大きな制限があらわれるのは、一か月間です。この一か月間を家族みんなで力を合わせ、後悔の少ない最期を過ごしてもらいたいのです。

 

この記事は概論です。もう少し詳しく残された時間を予測する方法を書いた記事もありますので参考にしてください。☞頭の状態と痩せ具合で余命を予測

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

余命に関する記事

 

参考文献

緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法のガイドライン
苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン
聖隷三方原病院 予後の予測
森田達也(編) 2016 続・エビデンスで解決!緩和医療ケースファイル
大津秀一(著)2015 Dr.大津の世界イチ簡単な緩和医療の本―がん患者を苦痛から救う10ステップ
淀川キリスト教病院(著)2007 緩和ケアマニュアル
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死生観、終末期、緩和ケアの研究してます。死の過程の知識を深め、家族の力をアップし、医師とコミュニケーションを取り、医療サイドと家族サイドの見解を一致させることが終末期を穏やかに過ごす要素だと信じております。