患者の集中力を観察し、残されている時間を推測する




集中力の低下で残された時間を推測

全身状態が悪化してくると頭の症状が顕在化してきます。つまり、頭の状態(意識状態)を観察するとあとどれぐらいの時間が残されているのかを予測が可能です。

意識状態というと難しそうですが、集中力を観察すると残されている時間が大まかですが推測できます。

ただし、集中力の状態で余命を判断出来るのは余命を1ヶ月切ってからです。

それより長い余命予測は難しいので、主治医の先生に確認してください。

この記事では最後の一ヶ月間の集中力の状態の変化についてお話させていただきます。

まずは集中力の低下からはじまる

ガンが進行すると体が痩せ、頭の状態(意識状態)が必ず悪くなります。

頭の全体的な機能は意識状態で評価することができるのですが、ちょっと難しいですよね。

意識状態といわれるとピンとこないかもしれませんが、元気なときでも頭が冴えている状態とか、眠たくて集中力が続かないときとかありますよね。

元気なときは、頭はシッカリ目が覚めていますよね。ガンが進行すると、シッカリ目が覚める時間が短くなってしまいます。

頭の機能が低下してきてるからです。自覚症状としては、何をしても集中力がわかないので自信が低下します

何かしようとしても、集中力がわかないのでうまくいかなくなり、自信が失われていきます。

自信がなくなった患者の周囲の人たちからすると、急に頼りなくなったように見えます。うわの空で話を聞いたり、表情が乏しくなるのも周囲への注意力が低下した結果と思われます。

集中力が低下してくると、何に対しても興味がなくなってきます。外の世界や他人に対する興味が減退します。

その他の自覚症状としては新聞を読めなくなります。(読みたくなくなる)集中力がなくなるため文字を読んでも、内容が頭に入ってきません。難しい文章を読んでいるような気持ちになるようです。

周囲に対する興味が減退するため、新しい情報を手に入れようという気持ちが薄れます。

新聞よりテレビの方が簡単に見られますが、テレビを見ても面白く感じなくなります。

「テレビを見ていられない。」「テレビの音がうるさい」そんなことを言い出すようになると注意力の低下が始まっています。

注意力が低下するのでテレビや新聞を見ても情報が頭にはいってきません。

頭の機能が落ちてきているため集中力(医学的には注意力)が低下、集中力の低下は興味、好奇心の低下につながってきます。

注意
今まで見ていたテレビを見なくなるとか新聞を読まなくなるなどの症状が現れたら、残されている時間は一ヶ月を切っていると覚悟しなくてはいけません。

 

注意力が低下してきた頃から急激に容態が悪化してきます。全身の状態が悪いから、注意力が低下してくるのですが…

注意力が低下する時期は、筋力の低下による症状がどんどん現れてきます。

今までできたことが、急にできなくなる時です。

生前準備、終活などは集中力が低下する時期までにしておく必要があります。

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筋が通らないことを言い始める

ガンがさらに進行すれば、話のつじつまが合わなくなります。周りからすれば何を言っているのか分らないし、変なことにこだわるようになります。

具体的には、日付けを間違えたり、時間を間違えたり、仕事の話を急に始めたりします。話のタイミングがおかしいな?と感じたら頭の症状が進んでいるサインです。

家族からすると寝ぼけているような印象や認知障害が現れたような印象を受けるかもしれません。

このような状態になったら残された時間は2~3週間のことが多いです。

 

つじつまを合わせられないということは短期記憶が障害されているということです。医学的には意識状態が悪くなっているということになります。頭の全体的な機能が低下しているといえるでしょう。

しかし人格は保たれているので、否定されると起こったりします。弱っている印象を受ける反面、怒りっぽくなることもあります。

 

見えないものが見える(幻覚)

さらにガンが進むと幻覚などが見えたりします。

幻覚が見えるということは意識状態が悪くなっています。

おそらく残されている時間は一週間以内であり、近くお別れが来る可能性が高いです。夢と現の間をさまよっている状態です。

頭の働きが低下し、あらぬものが見えたり、あらぬところにいる様な感覚になることをせん妄といいます。

専門的用語で終末期せん妄といいます。

 

終末期せん妄とは多くのガン患者が終末期に生じる頭の機能の低下です。頭の機能の低下はすなわち全身状態の悪化を意味します。

さらにガンが進行し、声をかけないと目を開けないような意識状態になれば、残されている時間は2~3日でしょう。

声をかけても目を開けないような意識状態になれば残されている時間は1~2日でしょう。

 

「あとどれぐらい生きられるのか推察すること」は現実と向き合うことなので、とても辛いかも知れません。

終末期せん妄は多くの患者でみられる自然な経過です。周囲から見ると辛そうな印象を受けることもあり、場合によっては強制的に眠らせることもあります。

終末期せん妄に対する良薬はなく、周囲の人が本人にに寄り添うことで、病んでいる本人の苦痛を軽減すると思います。

つじつまの合わないことを言う病人を見ると寂しい気持ちになりますが、この経過こそがガンの最期の迎え方なのです。

病気の進行程度から、将来生じうる症状を予め知っておけば、心穏やかに看取りをすることが出来ると思います。

例外はあります。脳転移がある方は必ずしもこのような経過にならないので専門家に質問してください。脳腫瘍の末期症状

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

参考文献

緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法のガイドライン  苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン  隷三方原病院 予後の予測  森田達也(編) 2016 続・エビデンスで解決!緩和医療ケースファイル   大津秀一(著)2015 Dr.大津の世界イチ簡単な緩和医療の本―がん患者を苦痛から救う10ステップ  淀川キリスト教病院(著)2007 緩和ケアマニュアル  Evans C, McCarthy M. Prognostic uncertainty in terminal care: can the Karnofsky index help? Lancet 1985; 1:1204.  Maltoni M, Nanni O, Derni S, et al. Clinical prediction of survival is more accurate than the Karnofsky performance status in estimating life span of terminally ill cancer patients. Eur J Cancer 1994; 30A:764.  Gripp S, Moeller S, Bölke E, et al. Survival prediction in terminally ill cancer patients by clinical estimates, laboratory tests, and self-rated anxiety and depression. J Clin Oncol 2007; 25:3313.  Zubrod GC, Schneiderman M, Frei E, et al. Appraisal of methods for the study of chemotherapy in man: comparative therapeutic trial of nitrogen and mustard and triethylene thiophosphoramide. J Chron Disease 1960; 11:7.  Viganò A, Dorgan M, Buckingham J, et al. Survival prediction in terminal cancer patients: a systematic review of the medical literature. Palliat Med 2000; 14:363.  Morita T, Tsunoda J, Inoue S, Chihara S. The Palliative Prognostic Index: a scoring system for survival prediction of terminally ill cancer patients. Support Care Cancer 1999; 7:128.  Subramaniam S, Thorns A, Ridout M, et al. Accuracy of prognosis prediction by PPI in hospice inpatients with cancer: a multi-centre prospective study. BMJ Support Palliat Care 2015; 5:399.




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