ガン悪液質の予防方法は科学的な根拠が乏しいものが多い




微かな科学的根拠

もし、筋力低下を抑えることができたら、末期ガンの苦しみは減るのではないかと思いませんか?

ガンに夜筋肉の減少を抑える方法があれば知りたいですよね。

心に留めておいていただきたいのですが、極度の痩せから回復する方法ではありません。ガンがコントロールできないのに、悪液質だけコントロールする方法はございません。

まだ体重減少が生じていない段階しか予防方法は効果がないと思ってください。

悪液質の予防方法は科学的な根拠が少ないということも心に留めておいてください。少しばかり効果があるかもしれないというものを紹介します。




悪液質の薬物治療

ガンによる筋力低下を遅らせることができれば、いろいろな苦痛を減らすことが出来ると考えている科学者やお医者さんがいます。

しかし、残念ながら今現在、悪液質の防止効果のある薬剤は少なく、効果も弱く、科学的な裏付けも脆弱です。科学的な根拠の裏付けがほとんどありません。

 

それでもわずかな望みがある治療法としては、栄養指導とエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、カルペチリド、分枝鎖アミノ酸とサリドマイド、ステロイドなどをあげることができます。

しかし、これらも科学的な根拠が乏しく、悪液質が進行した状態で開始しても効果はほとんどありません。

また、ガンによる体重減少が顕著になってからの研究のエビデンスはほとんどありません。

エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)

青魚に含まれている油なのですが、IL-6のサイトカインの産生を抑える作用があります。

動物実験ですが、脂肪や筋肉のタンパク質の分解を阻害する作用があるようです。(

抗炎症作用が期待できるようですが、悪液質になっている患者に対し、明らかな科学的な根拠はなく、服用しても嘔気がでるなどの副作用があるため奨められないとのこと。

Dewey, Ann, et al. “Eicosapentaenoic acid (EPA, an omega‐3 fatty acid from fish oils) for the treatment of cancer cachexia.” The Cochrane Library (2007).

効果を得るためには一日1〜2g程度のEPAを内服する必要があるらしい。かなり大量に飲まないと効果がないし、たくさん飲み過ぎると副作用も出やすいようです。

 

分枝鎖アミノ酸

グルタミンやロイシン、アルギニンがセロトニン活性を低下させて、食欲が増加させるこうが期待できるようです。

Eley, Helen L., Steven T. Russell, and Michael J. Tisdale. “Effect of branched-chain amino acids on muscle atrophy in cancer cachexia.” Biochemical Journal 407.1 (2007): 113-120.

分枝鎖アミノ酸には筋肉のタンパク質の分解を防ぎ、筋肉のタンパク質の合成を促進する作用があります。ボディービルダー等が筋トレ前にアミノ酸を飲むのはこの効果を期待してです。

 

ステロイド

抗炎症作用のあるステロイドは進行した悪液質の症状を改善する作用があります。

例えば、プレドニゾロンなどのステイロドを内服するとしばらくの間食欲を改善させる効果があります。

ただ、食欲増進の効果は一時的であり、副作用(消化管出血、感染など)があるため2週間の使用になるようです。

体重が増えることはありますが、筋力増加作用はありません。

 

サリドマイド

強力な炎症性サイトカインであるTNF-αの産生を抑え、抗炎症作用があるといわれています。

Gordon, J. N., et al. “Thalidomide in the treatment of cancer cachexia: a randomised placebo controlled trial.” Gut 54.4 (2005): 540-545.

ガン悪液質に対して、合理的なアプローチですがまだ一般的に認知されていません。

副作用に眠気や発疹、意識障害、頭痛、血栓が生じることがあるといわれていますので、適切な使用量、使用方法が重要になってくるとおもいますが、まだ推奨するには科学的な根拠が足りず、良い使い方を模索している段階だと思われます。

 




栄養指導

栄養指導をしても悪液質を止めることはできませんが、化学療法中や放射線療法中などに栄養介入を行うことで体重減少の速度を遅くすることができるかもしれません。

食欲がわかないときの適切な食事方法や放射線療法中の嚥下痛を防ぐような食事の仕方を指導してもらえば、食事量が増え体重減少を防げるかもしれません。

栄養指導により、ご飯の固さを調節したり、末期がん患者が好むものを紹介してもらったり、出来るだけ食事ができるように工夫してもらうことに意味があると思います。

 

リハビリなどの筋力トレーニング

リハビリをして筋肉をつけたいとか筋力を維持したいと希望されるガン患者はたくさんいると思います。

前立腺ガンの体重減少が生じていないような段階の悪液質の前段階では適切な筋肉トレーニングや持久性トレーニングを行うことで、慢性炎症が改善し、疲労感、食欲が増進するようです。

Segal, Roanne J., et al. “Resistance exercise in men receiving androgen deprivation therapy for prostate cancer.” Journal of clinical oncology 21.9 (2003): 1653-1659.

悪液質が進行した終末期患者のリハビリテーションを理学療法を行なっても、筋力低下の進行の速度の方が速いので、筋力回復の効果は期待できないという考えが一般的です。

 

終末期のリハビリテーションで行うことは、筋力回復ではありません。筋力が落ち歩けなくなった人が歩けるようになったという話はほとんど聞きません。

筋力の低下を補う杖歩行の仕方を覚えたり、転びにくい歩き方を指導をしていただけます。終末期は今以上の苦痛が増えないように工夫する段階です。

 

終末期の患者が体力や筋力の衰えと直面すると、多くの患者は「リハビリして筋力をつけないといけない。」と思うようです。

「リハビリ」という言葉に希望がありますが、歩くのでさえやっとこさの患者が筋力アップを期待してレスタンスとレーングや持久性トレーニングを行うことは痛々しくもあり、やってはいけない医療行為とされています。

リハビリをして元気になりたいという気持ちをサポートすることは大切だと思いますので、カウンセリング的な意味合いを込めたリハビリは必要かもしれません。

 

まとめ

  • ガンによる体重減少を抑える有効な薬物療法はまだ開発途中。食事療法で悪液質の進行を抑えることは難しいようですが、運動療法は早い段階から行うと効果がありそうです。
  • 筋力低下により様々な症状や日常生活の不具合が生じてくるつらさを完全に解消することは難しいので、心のケアをしながら、終末期をサポートしていく必要がありそうです。

 

悪液質が及ぼす体の不自由さや辛い症状は避けては通ることはできません。

しかし、筋力が落ちてきたときのことをあらかじめ想定し、今の生活を出来るだけ長く送れるような準備をしておくことは可能です。

筋力が落ちてきたら、家族の助けや他人の助けが必要になります。

そのためには、患者の療養場所を家族の近くに選んだり、家族の仕事の調節の準備をしておけますよね。

ある程度筋力が弱まってからでは治療をしても遅いようです。それより、現実的な対応策を調整した方が建設的なようです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。




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