末期がん患者の多くは痩せ衰えている
ご存じかと思いますが、死期が近いガン患者の多くは痩せています。
死期が近いほど、痩せているのです。
筋肉や脂肪を消費し、栄養が吸収できなくなる悪液質になるから
悪液質という言葉を聞いたことがないという人もいるでしょう。
このサイトに来たからにはぜひ「悪液質」について理解してもらいたい。
難しい言葉ですが、悪液質とは、体重減少、進行性の筋肉量の低下、食欲不振をもたらす状態です。
がん細胞とは無限大に大きくなろうとする異常な細胞の集まりです。
ガンは自分の他を臓器や組織を犠牲にしても無限大に大きくなろうとします。
がん細胞が自分だけ大きくなろうとします。筋肉や脂肪などを分解し大量のエネルギーを作るため、体が痩せます。
ガンが大きくなればなるほど、エネルギーのコントロールできない状態になります。
食べ物を食べて、栄養を吸収するという役割も一定のエネルギーが必要です。生きてゆくために必要な活動に対してもエネルギーを回すことができず、栄養状態が悪化します。
悪液質とはエネルギーの生産と利用が破綻した状態といえます。
悪液質は超高速の老衰のようなイメージ
人間誰でも年を取れば衰えます。年齢を重ねることによる衰えを老衰といいます。ご高齢になると、様々な不便が現れてきますよね。
移動距離が減ったり、難しいことを考えれなくなったりして、自分ひとりで生きてゆくことが不自由になっていきます。
癌悪液質も同じような状態になっていきます。ただ、癌悪液質の場合、衰える速度が月単位、日単位です。
ご存知の通り、筋肉量の低下は加齢とともにすすみます。30歳を超えると10年ごとに3〜5%低下してゆきます。(1)
ガンによる悪液質は生理的な筋肉量低下よりも遥かに速いスピードで筋肉が減っていきます。(2)
ほとんどの人がガン悪液質になる
悪液質(ガンによる痩せ)はガン患者全体の4〜6割に認められ、ガン死の20〜25%を占めるといわれています。
わたし的な見解では、もっと多くのガン患者が悪液質に悩み、苦しんでいると感じています。悪液質で困っていないガン末期患者はいないと思っています。
大変残念ですが、現在の医学では悪液質の本質の根底の解明には至っていません。
確定的な治療法もないのが現状です。
一定の治療効果があると報告されている物質にはプロゲステロン(黄体ホルモン)EPA、サリドマイド、分枝鎖アミノ酸などがありますが、科学的根拠は脆弱です。
悪液質は代謝の暴走
ガン悪液質の恐ろしいところは、腕や足の筋肉量が減るだけでなく、呼吸筋、嚥下に関わる筋肉など生きるための筋肉までもが減ってゆくという点です。
無制限に暴走した代謝の異常です。
代謝が暴走しているため筋肉など必要なタンパク質を消耗しするだけでなく、栄養摂取に必要な消化酵素、栄養吸収のためのタンパク質が消耗し、食欲がなくなり、栄養の摂取が不十分となり、体重が減っていくのです。
勝手に筋肉を分解してエネルギーを作ろうとするし、栄養を吸収する部門にエネルギーやタンパク質を使わず、体中のタンパク質が無制限に減ってしまうのです。
悪液質というのはとても恐ろしい状態なのです。
悪液質で筋肉量が低下すると何ができなくなるの?
悪液質の体重減少、以外の症状を知りましょう当たり前のことなのですが、人間のあらゆる動作には筋肉が必要です。
走ったり、物を持ったりする大きな動作から、声を出したり、唾を飲み込んだり、まばたきのような些細な動作まで筋肉がないと動かすことはできません。
食べたり、、声を出したり深呼吸をしたり、ため息をついたり、唾を吐き出したり、唾の見込んだり、ウンチをしたり、おしっこをしたり、寝返りを打ったり、健康な時は気にも留めないような動作にも必ず筋肉は働いています。
悪液質が進行すると、生きるためのすべての動作ができなくなっていく
最期の一ヶ月の余命を語るとき、この筋力低下はとても重要な点になります。
悪液質の進行とともにいろいろなことが徐々にできなくなっていきます。特に最期の一ヶ月間は筋力低下の症状が目立つようになります。
コップを持ったり、箸を持ったりなど簡単な動作ですらできなくなってしまうのです
筋肉が落ちるとどうなるか、想像してみよう
最後の一ヶ月の状態を想像したことはないかもしれません。
最後の一ヶ月の筋力低下による症状は、簡単に想像できます。
呼吸のための筋力が落ちたらどうなるでしょう?
呼吸のための筋力が落ちて、十分空気を吸えなくなれば、命にかかわります。
呼吸のための筋力が落ちれば、ちょっとした動作でも呼吸が苦しくなるでしょう。
際限なく腕や脚の筋力が落ちてゆく状態を想像してみてください。
筋力が低下すると歩いたり、寝返りをうったり、立ち上がるなどの簡単な動作もできなると思いませんか?
立ち上がる動作にしても、何かにもたれたり、誰かに引っ張ってもらわないと立ち上がれなくなるでしょう。
腰の筋肉が落ちたらどうなるか想像してみてください。
起き上がることはできず、自分の力で座っていることもできなくなります。寝返りもうてなくなります。
寝返りが出来なくなると、寝ダコ(褥瘡:じょくそう)が出来やすくなり、痛みをともなうようになります。
筋肉が落ちれば、移動するにも、座るにも、起き上がるにも寝返りをうつにも他人の力を借りなくては生きてゆけません。
筋肉量が低下すれば自信を失う
健康であっても、今まで出来たことが出来なくなると自信を失い情けない気持ちになりますよね。
癌患者は筋肉量が急激に減るため、自信を失う機会が多くあります。
指の筋力が落ちた状態を想像してください。ふつうに文字が書けなくなります。
手に力が入らないとミミズが這ったような文字しかかけなくなるでしょう。
字が書けなくると、自信を失うと思いませんか?
自信を失ったときの苦痛はどのようなものか想像出来ると思います。
喉の筋力が落ちた状態を想像してみてください。
声はかすれ、大きな声が出なくなるでしょう。
声を出すのにも筋力が必要であり、悪液質の進行とともにだんだん声が弱くなってゆき、自分の気持ちを人に伝えることに苦痛を感じるようになります。
声が小さくなり、自分の気持ち伝えても一度で伝わらず、聞き返されることが増えれば自信を失ってゆくかもしれません。
筋力が衰えると、自身がなくなる
筋力の低下が どれほどガン患者を苦しめるか想像できますよね。
ガン悪液質が進行すれば、一人の力で生きてゆくことは出来ず、誰かの力が必要になってくるのです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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