まず悪液質を知ってほしい
ガンになると痩せることはご存知でしょう。
痩せてきたらガンが進行してきたと感じませんか?
ガンのような病気による痩せを「悪液質」と呼びます。「悪液質」という単語は得体の知れない聴きなれない言葉だと思います。
悪液質ということばから何か悪そうな気配を感じるけど、どんなメカニズムでどんな症状kイメージはわきにくいですよね。
悪液質という言葉はあまり世間に知られていませんが、ガンによる苦しみの一番の原因です。
悪液質といっても、悪い液体が体の中に満たされるのではありません。
悪液質とは「全身の筋肉脂肪の進行性の消耗状態」を表す言葉です。
癌細胞が放出する炎症のシグナルが全身の炎症をもたらし、筋肉、脂肪を分解してしまうのです。
筋肉、脂肪が消耗すれば、外見は痩せ、体力は衰えます。ガンによる老衰のようなものです。
ガン悪液質は進行性であり、ガン細胞の増殖を抑えられないのと同様に筋肉・脂肪が消耗されることをとめることはできません。
がん悪液質の定義
ガン悪液質はメカニズムが複雑で定義するのが難しくいろいろな定義があります。
「がん進展に伴うタンパク代謝を主体とする高度の不可逆な栄養障害、あるいわ治療に手も制御不能の全身浮腫、胸水、腹水をきたす病態」(1)
「栄養療法で改善することは困難な著しい筋肉量の減少が見られ、(脂肪量の減少の有無に関わらず)進行性に機能障害をもたらす複合的な栄養不良の症候群で、病態学的には、栄養摂取量の減少と代謝異常によってもたらされるタンパクおよびエネルギーの喪失状態である」参考:European Plliative Care Research Collaborative
簡便に言えば「筋肉、脂肪が減少し、食欲が落ちるため体重が減少する状態」です。
ガンの患者がやせ細っている映像や写真を見たことありませんか?俳優さん等が闘病中の写真を公開したりすると、「あんなにがっちりしていた人がこんなに痩せてしまうなんて!!」とインパクトを受けたことがありませんか?
あなたが受けたそのインパクトこそが悪液質です。
どれぐらいの人が悪液質になるのか?
ガン患者の3割から8割が悪液質になるといわれています。
しかし、末期ガンの患者で筋肉が落ちていない人など一人もいません!!
ガン死の2〜3割が悪液質でお亡くなりになるといいます。
ほぼ100%の患者が程度の差こそあれ、筋力低下、体力の衰えを実感するようになります。体力が落ちたという自覚こそが悪液質の症状です。
健康な状態であれば体重は簡単に増えたり減ったりしないことを実感していると思います。
例えば、ダイエットって難しいですよね。
健康な状態でのダイエットが成功しにくい事実を多くの人は感覚的に理解しているのではないでしょうか?
健康なら簡単に痩せられないのです。
数キロぐらいなら一ヶ月単位で変化しますが、5kg、10kgの増減となると長い期間食事制限と持続的な運動が必要になることは感覚的に理解できると思います。
健康な体は何もしていないのに急にやせたり、太ったりすることはないように、常にうまいこと体がバランスをとってくれているのです。
それに対し、末期ガン患者の多くはやせています。
なぜでしょう?
ガンが大きくなると異常な炎症のシグナルが増えます。いわゆる「炎症性のサイトカイン」というものです。
炎症性のサイトカインが異常に大量生産されると、筋肉や脂肪が分解され必要なたんぱく質を作れなくなるのです。
筋肉と脂肪が分解されれば痩せ、筋力は衰えてゆきます。筋力が減るというのが重要な点です。
筋力が徐々に低下すれば、そのうち自力で歩けなくなり、ベッドから起き上がれなくなり、呼吸すらできなくなり死んで逝くことになります。
癌細胞が大きくなるのと同様に、悪液質は死ぬまで、際限なく筋肉がなくなってゆくのです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
コメントを残す