食べれなくなった時、家族がすべき正しい行動について




食欲がなくなってきたらあとどれぐらい生きられると思いますか?

ガンの末期になると体が痩せ、食べる量が減ってゆき、食欲がなくなります。

食事が出来なくなれば、最期の一ヶ月間に入ったと覚悟を決めなくてはなりません。

食欲がなくなってから、食事をさせようと試みてはいけません。自然の流れとして受け止め、正しい行動をしないと患者本人がつらい思いをしてしまいます。

実際は食事が出来なくなると、余命は1−2週間のと考え、現実を見据え行動するべきです。

 

食べられなくなったら終わり」ということを直感的に理解されている人多いかもしれません。

ガンによる食欲の低下の原因は様々です。痩せ衰え、筋力低下や食欲低下で、食事ができないなら最期の一ヶ月に入っていると思います。

このような時期に無理やり食べることに意味があるかについて、書かせていただきました。

 

食べるための筋肉の減少と食欲の低下

悪液質ガン末期になると悪液質により痩せ、全身の筋力が衰えてしまいます。

元気な時なら考えられないと思いますが、がんの末期になると、体が消耗しているのに食欲がなくなります。

食べたいという欲求も減りますが、食べる力も弱くなります。

食欲がなくなってくる頃は外見や手足の筋肉のやせ衰えが目立ちますが、噛む力、飲み込む力、胃腸を動かす力など食べるため筋肉も減っています

 

がん末期でやせ衰え続ける状態では、どんなにリハビリをしても、無理やりに食べても癌はあなたの筋力は失われ続けます。

病気がすすむにつれ、飲み込む力が衰え、普通のご飯がのどを通らなくなり、軟らかく水分の多いものを好みます。故にお粥を好むようになります。

ガンが進行し体力が消耗してくると、やわらかいものを好むようになってくることは想像できますよね。

 

ガンが進行し、最期の一ヶ月に入れば、普通の固さの食べ物を飲み込むことが難しくなり、苦痛に感じるようにになります。食べる意欲も奪われるでしょう。

 

筋力が低下すれば、水を口に含むことすらできなくなるのです。

コップに口をつけてお茶を飲むことが出来なくなることを想像できるでしょうか?

多くのがん患者は「ストロー」や「楽のみ」でしか水分を飲めないのです。

←楽のみ

←ストロー付きコップ

普通ならコップの水をゴクゴク飲むことが出来ますが、筋力が弱まるとゆっくり一口ずつしか飲めません。

飲み込むための筋力落ちることに加え、声門がタイミングよく締まらないため、飲み込むときに水が気道に入ってしまうのです。

勢いよく水を飲むだけで、むせてしまう。それぐらい筋力が落ちるのです。

 

最初にも書きましたが、ガン悪液質により筋力が低下し、食べれなくなるような状態である場合、余命は一ヶ月と言わず、数週間以内でしょう。

水分はストローなどを使えば、最期の数日前まで口にすることが出来ます。

食べるための筋力が弱くなっている時に無理矢理食べることは、辛いことであり、気道に食べ物が入れば、誤嚥性肺炎の原因になり命を短くしてしまう可能性があるのです。

ガン悪液質と食欲低下は深い関係があります

がん悪液質は、筋力低下だけでなく、食欲を低下させます。

ガンの炎症により様々な炎症性サイトカインが分泌されると、強い炎症のため食欲が減ります。

インフルエンザになり、高い熱が出ると食欲がなくなるのと同じような理由です。

ガンが大きくなればなるほど、炎症が強くなり食欲がなくなくなっていきます。

 

ガンはあなたの筋肉を奪いながら、炎症性のサイトカインを分泌し、食欲を奪い、食事ができなくさせてゆきます。たとえあなたが食べないといけないと思っていても食欲は湧いてきません。

 

残念ながら、今の医療ではガンに伴う筋力の低下や食欲の低下を元に戻すことは出来ません。

悪液質を抑える薬も開発されつつあるようですが、癌自体が小さくならない限り、痩せてしまった筋力を戻すことは出来ません。

高栄養の点滴や経腸栄養を使うと、栄養状態が改善され、痩せる速度が落ちるかもしれません。しかし、栄養を体に無理やり入れても、栄養を利用できなくなっているので、苦痛が増えると言われています。

食欲低下により十分な栄養が取れず、栄養のある点滴や経腸栄養を投与してもらうことは逆に苦痛を増強させてしまうので、止めた方がいいようです。終末期がん患者の輸液療法ガイドライン2013

 

悪液質が進行していると栄養を取り入れても、体の中で使うことができず、過剰な栄養や水分は浮腫や胸水、腹水を増やし、苦痛を増やしてしまうことがあるようです。

 

家族としてなにができるのか?

ご家族が患者本人のためになることを、できるかぎりしてあげたいと願うことは自然のことです。

できる限りのことをしてあげていることで、現実から目を背けているのであれば、本末転倒です。

ご家族がベストだと思われることが、元気な時のベストであることが少なくありません。

体力が失われるから食事を摂らせるという考えは、がん末期の方にとって苦痛を増やしていることがあります。

 

食事を無理にさせたりすることは本人にとってつらいだけです。

本人は食べたい、食べなくてはいけないと感じているのに、食べることが出来ないのです。

おそらく本人は食べれなくなり、直感的に人生の終焉が迫ってきていることを感じていると思います。

 

このような状態なのに、家族が心配してもっとたくさん栄養のあるものを食べてよといわれたら、本人はどう思うでしょうか?

本人は食べたいと思っているし、家族が心配してくれていることも分かっているのです。

家族が心配するからという理由で、無理に食べ、苦痛を増やしているかもしれません。

 

ガンの終末期は食事が出来なくなるということを、家族の方は心に留めておいてほしいのです。

死から目をそらさず、患者の現状を見据え、食べられないという苦痛に寄り添ってほしいと思います。

食べれなくなることは避けられず、死から目を背けず、患者に寄り添い、現実を受け入れる方が患者は穏やかに過ごせると思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。このサイトには食べれなくなった家族に寄り添うための記事をたくさんアップしています。参考にしていただければ幸いです。

 




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