食べれなくなったら人生終わりということを感覚的に理解している方は多いと思います。
食べれなくなったら、命が尽き始めていると感じる判断は正常です。
近年は、食べれなくなっても栄養を取る方法があります。胃瘻や管を使って、ドロドロのスープを直接お腹にいれれば、十分な栄養を取れます。意識がなくても、直接お腹に入れれば、食べなくてもかなり長く生きていきます。
栄養を直接血管に入れる中心静脈栄養という方法もあり、私達の感覚として、食べれなくなっても生きれるという印象があるかもしれません。
しかし、多くの末期がん患者の場合、悪液質が進行しているため、栄養をいろいろな方法で補充しても、利用できない状態です。
末期がん患者の中には、腸や胃が詰まってしまい食べれなくなるというケースもあります。
悪液質の進行による場合
悪液質によって食事ができなくなったら、残されている時間は数週間だと覚えておいてください。
がん悪液質(ヤセ)はガンから異常に放出されるサイトカイン(細胞伝達物質)の影響で、体の消耗と食欲低下を生じる病気です。
とくに、身体中の筋肉が減るため、生活に支障を来すようになります。
がん悪液質は末期になればなるほど進行し、ゆっくりと患者さんの体力と体重を奪い、食欲を低下させていきます。
やわらかいものを好むようになる
だんだんと食べたいという欲求がへり、食べる量が減っていきます。全身の筋力低下により、食べ物を飲み込む力も弱くなるため、軟らかいものを好むようになります。お粥や柔らかく煮た煮物を好みます。
焼き魚や焼いた肉を食べなくなってきます。
どれぐらいの時期から軟らかいものばかり食べるかは、発生したガンの進行速度によります。しかし、おおむね余命一ヶ月を切る頃には、食事量が減り、軟らかい食べ物(お粥)を好む方多くなります。
死ぬ2〜3週間前になると極端に食べれる量が減ります。少し食べるだけで満腹感を感じてしまうのです。食べないと死んでしまうと実感しているから、食べようとしますが、食べれないのです。
この時期は、口がすごく渇くようになり、氷を好みます。
何も食べれなくなったら、1〜2週間の間にお別れが訪れることになるでしょう。
水分は最期の数日まで摂取することができます。
消化管の閉塞や嚥下障害
もう1つのケースは全身の筋肉は保たれているのに、喉(のど)や食道や胃が詰まったり、飲み込む能力が失われた場合です。
このようなケースの場合は残されている時間を予測するのは難しいです。
一部のガンが大きくなり、食べ物の通り道を塞いでしまったり、手術の影響で食事ができなくなったりした場合は、食事をしなくても何年も生きることがあります。
食道癌は食道の筋肉が固くなり、塞いでしまうので、飲み込むことが出来なくなります。胃ガンが大きくなり、詰まってしまうと食べても吐いてしまうようになります。
喉頭がんや咽頭癌、舌ガンなども口から喉にかけての嚥下(飲み込み)に携わる機能が失われるため、誤嚥してしまい食事が出来きません。
喉から胃の上部消化管のどこかが詰まったり、放射線治療により誤嚥を生じることが原因で、食べることが出来なくなる場合もあります。
食欲はありますし、腸の栄養吸収能力も保たれているので,鼻からの栄養チューブや胃瘻で直接胃に栄養を入れれば生きてゆくことが出来ます。
このような場合は、全身の筋力が保たれており、食べれなくなったからといって後どれぐらいの余命が残されているかは分かりません。
悪液質により食事ができなくなる場合は、全身の筋力が落ちていますので、移動範囲も狭まってきているはずです。
ヤセが進行して食事量が減ってきたら余命は一ヶ月程度でしょう。
全く食べれなくなったら1〜2週間ぐらい、水分摂取が出来なくなったら数日ということが多いようです。
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当サイトには、頭と余命に関する記事だけでなく、ガンの終末期に関わる症状についての記事もあります。参考にしてください。