余命数日の特徴的な症状
余命(残された生存期間)予測をし、前もって心の準備やお別れの後のことについて準備しておくことは、介護する家族にとっても重要です。
残された時間が数日となってから現れる症状について、知識として持っておいて損はありません。
余命が2、3日の予測が出来れば、死に目に合うことが可能になります。
「おばあちゃんまだ元気だけど、おしっこが出なくなったらしいよ」とか「手足が青くなってきた」という情報を得たら、用事や仕事を切り上げ、おばあちゃんに会いに行かなくてはなりません。
死の兆候を理解しておけば、「死に目に会えなかった」と後悔する方たちが減るのではないでしょうか?
余命数日に現れる特徴的な症状
余命数日で現れる特徴的な症状は、手足が青くなるチアノーゼ、おしっこの激減、訳のわからないこと言ったり、幻覚がみえるといったせん妄症状、もう一つは死前喘鳴と呼ばれるコロコロという呼吸音です。
残された時間が数日なれば、著しい筋力低下により、全身の筋肉量は生命活動がギリギリ行える程度になっているでしょう。
生きてゆくために必要な空気を吸うのが限界ぐらいの体力になっている状態です。
チアノーゼ
空気が吸えないため、体に取り込む酸素が不足してしまい、手足が青くなります。もう末梢の手足まで血液を送っている余裕がない状態です。
そのため手足が青くなります。いわゆるチアノーゼです。
手足が青くなっていても、頭はしっかりしているという方もいます。そういう人でもやはり余命は数日ぐらいの事が多いような印象です。
尿量減少
手足に血液が流れにくくなっているのと同様に、内蔵の中でも重要度の低い腎臓は血液が送られなくなり、おしっこが出なくなります。
手足が青くなり、おしっこが出なくなっていても、話ができる人もいます。でもやはり余命は長くありません。
頭の状態
チアノーゼや尿量の激減よりも先に、幻覚が見えるようになったり、辻褄(つじつま)の合わないことを言うような人もいます。
一週間を切る頃から、一日のうち何時間かせん妄が現れるようになります。幻覚を見るようになりますが、はじめは短い間しか幻覚を見ないのですが、日に日にせん妄の時間が長くなります。
余命数日になると極端に寝て過ごすことが多くなります。
覚醒する力・目を覚ましている力が低下しているだけで、眠っているのとは違うようです。
一日の大半を寝て過ごしているにも関わらず、熟睡感が得られず、「眠れていない」と患者本人は言われます。
家族からすると寝ているように見えるのに、本人は「寝ていない」と主張するような場合は意識状態が悪くなっているサインです。
死前喘鳴
死前喘鳴はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
余命数日になると、呼吸と共にのどの奥からコロコロという音が聞こえることがあります。
聞き慣れないコロコロという音は、痰が詰まっているようで、息苦しそうに感じるかもしれませんが、あまり苦しくないようです。
なぜ、このような音がするのかはわかりません。死前喘鳴は必ず見られる訳ではありません。
死前喘鳴が聞こえるようになると余命は数日以下のことが多いようです。
その他の症状
極度にやせ衰え、座ることさえも困難になり、座っているポジションを自力で変えられなくなります。振り向いたり、手を上げたりと言った簡単な動作も難しいでしょう。
手で顔を触ろうとするときのゆっくりな動作はまるでスローモーションのようです。
呼吸のための筋が弱くなるため声はとても小さくなります。
自分から話しかけなくなり、話しかけてもスグに話が終わってしまいます。口数が減ったとかんじるでしょう。声を出すことも辛そうに見えるかもしれません。
お見舞いに訪れると、話をするのもつらそうな感じになります。はじめは目線があって離していたのに、すぐに目はうつろとなり、焦点を合わせず天井や壁ばかり見ているようになります。
周りに対する興味が薄れているように感じるかもしれません。
眠っている方が楽なためか、自ら苦痛を訴えなくなります。とくに、「だるい、だるい」と言っていた方が、急にだるさを訴えなくなることは、お別れが近い兆候です。
この記事に記載したことは一般的な衰弱による死の迎え方の展開です。癌の死に方の1割〜2割程度は急変すると言われています。
最後の2〜3日を予測し、本人の近くで過ごせたという事実は、大切な人とお別れした後の深い悲しみから立ち直るときに力になってくれるはずです。
死に目に会えなかったことが、本人のことを思い出す足かせになってしまうことは残念なことです。