誰でもできる簡単な余命予測の方法について




どれぐらい生きられるかを予測する大切さ

残された時間を医師に聞くのはハードルが高いですよね。 でも、ガンの終末期を有意義に過ごすために、残された時間の正確な予測は重要。正しく今の状況を把握してはじめて、正しい選択ができるからです。

実際残された時間が半年の人と数週間の人では、やるべき優先順位は変わってきますよね。

余命があと半年あると思って生きているのに、本当は数週間しかなかったとしたら、痛々しくないですか?

正しい病状把握と正しい余命予測は大切な時間を有意義に過ごすためにはスゴく大切です。

残された時間を見誤り、後悔するケースが多くあります。

一ヶ月しか残されていないと医者が見込んでいる患者でも、半年ぐらい生きれると思っている人は多くいます。

半年ぐらい余命があると思っていたが、実は残されている命の時間が1ヶ月しかないとわかれば、生き方が変わりますよね。あと半年あると思って入院しているのに、本当は数週間しかないけど、積極的に化学療法や放射線治療をしているとしたら、あなたはどう思いますか?

するべきことの優先順位を変え、後悔の少ないお別れをしたいと思いませんか?

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大まかに残されている時間を予測する

医師は病状や症状から残された時間を判断すると思いますが、ベテランの医師であっても数ヶ月単位の残された時間は予測しづらいと言われています。

大まかに半年ぐらいとか数ヶ月ぐらいとかは経験的に予測可能らしいですが正確ではありません。

後半年ぐらいの命ですと言われていても、大量出血を生じると急に容態が悪化する場合も有りますし、病状の進行が遅くなり、一年、二年と生きる人もいます。

残された命が数ヶ月なのか半年なのかの判断は難しいですが、残されている時間が一ヶ月に入ったのかどうかの予測はお医者さんでなくても出来ます

今、自分に残されている時間が月単位なのか週単位なのかは、だれでも知ることができるのです。

他の記事でも述べていますが、最期の一ヶ月になると「死の兆し」『死の兆候』が現れてきます。死の兆候と呼ばれる症状観察すると余命が判断できます。判断が難しい症状ありますが、残された時間の大まかな把握は難しいものではありません。

簡単にできる余命予測
  1. 急に頼りなくなったり新聞が読めなくなったら余命は3週間程度でしょう
  2. わけのわからない発言が多くなったら余命は2週間程度でしょう
  3. 本来見えないものが見えるようになったら余命は1週間程度でしょう
  4. 寝てばかりいるようになったり、声をかけないと目を開けなくなったら余命は数日でしょう

この死の兆候を知っておけば、残された時間が分かるというわけです。

これらの症状の出現を注意深く観察すれば、ある程度の余命予測は可能になります。

この方法である程度残された時間を推測できますが、癌の種類によっても長さが変わってきます。ここからは、余命予測の注意点をお話していこうかと思います。

残された時間を見誤らないためのポイント

様々なガンがありますが、最終的な症状は似ています。故に予測ができるのです。

また、ガンの種類によって進行の早い、遅いがあります。進行が早いがんや遅いがんがありますが、最後の一ヶ月はだいたい同じような状態になります。

もしかしたら、「痛い、苦しい」が共通の症状であり、予測因子と考えている方もいるかもしれません。違います。

痛みや息苦しさはガンの共通の症状ですが、残された時間の把握には適していません。

骨転移があったりすると、まだ数ヶ月以上余命があるのに強い痛みを生じることも少なくありませんし、ちゃんと薬を飲んでいると痛みを殆ど感じず旅立たれる方も少なくないからです。

余命を予測するには痩せと意識障害という、ガン患者共通の症状に注目して残された時間を把握していきます。その他にも息苦しさとか食欲低下などの症状を総合的に考えて余命予測をしていきましょう。

余命で注目する2点
痩せ具合と頭の状態(意識状態)

残されている時間を予測するためには、2つの点に注目しなくてはなりませんが、そのほかにも重要なポイントがありますので、まずその点からお話ししていきます。

①同じ症状でもガンの種類によって残されている時間に差がある

ガンの種類によって病状が悪化する速度、いわゆる進行速度は異なります。

進行の早い膵臓癌で呼吸が苦しくなってきた場合と進行が遅い大腸癌で呼吸が苦しくなってきた場合どちらの方が残された時間が長いと思いますか?

想像しやすいとおもいますが、ゆっくり進行するほうが、長く生きる傾向があります。

大腸ガンに比べ、膵臓ガンは進行が早く、「呼吸が苦しい」と症状が出ると数週間以内にお亡くなりになってしまいます。しかし、大腸ガンの患者は息が苦しい感じがしてから、何ヶ月も生活する場合もあります。

同じ症状が現れても、膵臓ガンは大腸ガンよりも残された時間が短くなります。

①進行速度
同じ症状でも、進行速度によって残された時間が異なる

②痛みの症状が強いから残された時間が短いという訳ではない

痛みが強いと残された時間が短いような印象を受けるかもしれませんが、痛みと予後の関係は必ずしも一致しないと言われております。

痛みはガンが大きくなり、周囲の神経や痛みを感じる部分を破壊すると痛みが生じます。ガンが大きくなれば、痛みが強くなっていきます。

進行に合わせ痛みが強くなってゆくことに異論はありませんが、痛みの程度で残された時間で残された時間は把握できません。

なぜなら、ガンが大きくなっても、痛みが強い場所、痛くない場所があります。

骨に転移したり、神経に転移すると強い痛みを発します。

しかし、骨や神経は肺や肝臓のように直接生命に関わる転移ではありません。

肺で大きくなると酸素が血液内に取り込めなくなり、命に関わる事態になります。

肝臓がガンで占拠されれば肝不全となり、体の毒素を分解できなくなり命に関わりますよね。

痛みが強くても、残されている命の長さとは関係ないんです。

例えば末期の肺ガン患者でも、痛みが出る人、出ない人がいます。肺がんが肺組織にとどまっていれば痛くありません。肺がんが大きくなり、肺の周りにある神経を刺激したり、肺から背骨や肋骨に転移して骨がずれ、神経を強く刺激するために痛みを生じます。

肺の半分がガンに侵され、それほど残された時間がないと思われる方でも、痛みを全く感じないという方もいらっしゃいます。

不思議ですが、そういうことはよくあります。

痛みが強いから、命が短いという訳ではありませんし、たくさんモルヒネを使っているから、残された時間が少ないとは限りません。

逆にモルヒネが少ないから余命が長い訳でもありません。

たくさんモルヒネを使うと命が短くなるって考えている人がいるかもしれませんが、それは正しくありません。

モルヒネは痛みの程度に合わせ必要な量だけ使う薬であり、痛みの程度は余命とは関連が薄いからです。

末期ガンでも数割の人は痛みがありません。癌の痛みを感じることなく、旅立たれる方もいらっしゃいます。

②痛みの強さと余命
痛みの強さは残された時間とあまり関係ない

③息が苦しくないからといって残されている時間が長い訳でもありません

酸素の取り込みが悪くなると息苦しくなります。

ガンが大きくなり、正常な肺組織を占拠したり、肺の組織が炎症を起こし、肺組織がだめになっていると、肺胞まで酸素を吸っても血液の中に酸素を取り込めない状態になるからです。

お腹が大きくなりすぎて、息が吸いにくくなったり、呼吸の筋肉が衰え空気を十分取り込めない場合も息苦しさを感じます。

ガンが進行すると、息苦しさを感じる方が多くなります。

息苦しさが強いと残された時間が短いと判断できます。しかし、息苦しさを感じない人の残された時間が長いという判断はできません。

不思議なことですが、肺がんの末期で片方の肺が全く機能していないような状態でも息苦しさを全く感じない方もいます。逆に、肺のレントゲンは割と正常組織が保たれていても、強く息苦しさを訴える人もいます。

残された時間が数週間になってくると、ベッド上の生活が増え、動きが減り、体が要求する酸素の量が減り息苦しさが減ることがあります。

残された時間が1週間程度になると、意識障害のためか息苦しさが軽減します。

肺ガンで寿命まで数日ぐらいの危篤状態でも息が苦しくなる方と息が苦しくならない方がいます。息苦しさという指標だけでは残された命の時間を判断することはできませんが参考にはします。

③苦しそうじゃないけど
死期が近づくと、みんなが苦しそうになるわけじゃない

④体重減少と意識状態に注目する

多くのガンの共通症状として、体重減少(悪液質)と意識の低下があります。この2つに注目すれば、残された時間の把握が可能です。

体重減少は悪液質と呼ばれるガンにともなう炎症により生じます。ガンが進行すると筋肉や脂肪が過剰に分解されてしまいます。分解されるだけでなく、食欲が減り食べれなくなります。

どのようなガンでも痩せは必ず生じます。

最期の一ヶ月以内になると意識障害も必ず現れます。初期症状は集中力が低下する程度ですが、最後には眠ったままになります。。

痩せと意識障害という症状に注目して残された時間予測をしていきます。

④体重減少と意識障害
やせに伴う症状と意識障害に注目すれば余命予測ができる

⑤ひとつだけの末期症状から残りの人生の時間を予測することはしない

お医者さんは、いくつかの症状を組み合わせて残された時間を判断をしています。悪液質の進行具合や意識状態以外にも、尿ので具合、チアノーゼ、食事量、活動範囲、血液データ、レントゲンやCTなどいろいろなデータから余命を予測します。何度も臨終に立ち会った医師でさえも、残りの人生の時間をピタリとは言い当てられません。

客観的な予後予測方法も開発されていますが、素人には難しく利用しにくいと思います。

しかし、このサイトに書いてある残された時間(余命)の把握方法はとても参考になると思います。

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客観的な予後予測

医学的に客観的な余命を予測する方法があります。ちょっと煩雑で難しいです。

客観的な予後予測法方法として、PaPスコア(Palliative Prognosis Score)やPPI(Palliative Prognostic Index)があります。

PaPスコアで分かることは残された時間が30日以上ある可能性が高いか、21日以下のの可能性が高いかです。

PPIはPaPスコアと食事が出来るか、意識の混濁は生じているか、呼吸困難があるか、浮腫があるかを評価し、週単位の予後か月単位の予後かを判断します。

この方法はやや煩雑であり、点数化しなくてはならず素人向けではありません

ガンという病気はゆっくり体力を奪い徐々に死に近づいてゆく病気です。

おおよその展開が決まっているので、残された時間を予測できますが、急変は予測できません。

ある程度の余命予測は出来ますが、ガン終末期の方や家族はガンという病気は急変する可能性もあるということを心のどこかに止めておいてほしいのです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

余命予測カテゴリーには余命予測の方法に関する記事をたくさんアップしてあります。参考にしてください。

参考文献

緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法のガイドライン  苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン   聖隷三方原病院 予後の予測  森田達也(編) 2016 続・エビデンスで解決!緩和医療ケースファイル  大津秀一(著)2015 Dr.大津の世界イチ簡単な緩和医療の本―がん患者を苦痛から救う10ステップ  淀川キリスト教病院(著)2007 緩和ケアマニュアル  Evans C, McCarthy M. Prognostic uncertainty in terminal care: can the Karnofsky index help? Lancet 1985; 1:1204.  Maltoni M, Nanni O, Derni S, et al. Clinical prediction of survival is more accurate than the Karnofsky performance status in estimating life span of terminally ill cancer patients. Eur J Cancer 1994; 30A:764.  Gripp S, Moeller S, Bölke E, et al. Survival prediction in terminally ill cancer patients by clinical estimates, laboratory tests, and self-rated anxiety and depression. J Clin Oncol 2007; 25:3313.  Zubrod GC, Schneiderman M, Frei E, et al. Appraisal of methods for the study of chemotherapy in man: comparative therapeutic trial of nitrogen and mustard and triethylene thiophosphoramide. J Chron Disease 1960; 11:7.  Viganò A, Dorgan M, Buckingham J, et al. Survival prediction in terminal cancer patients: a systematic review of the medical literature. Palliat Med 2000; 14:363.  Morita T, Tsunoda J, Inoue S, Chihara S. The Palliative Prognostic Index: a scoring system for survival prediction of terminally ill cancer patients. Support Care Cancer 1999; 7:128.  Subramaniam S, Thorns A, Ridout M, et al. Accuracy of prognosis prediction by PPI in hospice inpatients with cancer: a multi-centre prospective study. BMJ Support Palliat Care 2015; 5:399.




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