医者と患者本人と家族での余命予測がかなり違うことをご存知ですか?




残された時間の予測を正確に行うには、客観的かつ正確な病状の把握をしなくてはなりません。

多くの患者の方が病状を軽く見積もっているという傾向があります。

つまり、患者や家族は残された時間を長く見積もりがちと言われています

 

緩和ケア病棟に入院する方であっても、あと数週間で自分の命が消えてしまうという自覚を持っている人は少ないと聞いたことがあります。

 

古い研究ですが、ある病院で患者本人と家族とお医者さんの余命予測をしたところ、患者は家族より長く、家族はお医者さんより余命を長く見積もったという結果もあります。

つまり患者や家族がまだまだ生きると思っているよりも余命は短いことを示しています。

余命認識のずれがあると患者と意志のコミュニケーションが成り立ちにくくなり、信頼関係が気づきづらくなる傾向があります。

たとえば、後半年ぐらい生きると思っているがん患者がいるとします。医者は後2ヶ月ぐらいかなと余命を予測していたとします。

余命宣告はとてもデリケートな問題なので、本人は後半年生きるつもりで頑張っているのに、あえて「あなたに残された時間はあと2ヶ月ぐらいですよ」とわざわざ本人の前で言う医者はいないでしょう。

 

もし、余命6ヶ月だと思っている患者から「わたしは後どれぐらい生きられますか」と聞かれたら、お医者さんは患者の意図をくみとり(忖度し)、お医者さんが予測している2ヶ月という数字を明確に告げてくれるでしょうか?

「◯◯さんは残されている時間が六ヶ月あると思っているみたいですが、残されている時間は数ヶ月でしょう。」としっかり伝えてくれるお医者は少ないのではないでしょうか?

 

だんだん体力、筋力が落ちてきて、動けなくなり、患者自身が残された時間が週単位だと気づいたとします。このとき患者本人は「どうして本当のことを言ってくれなかったんだろう。あと数ヶ月だと言ってくれたら、やっておきたいことがあったのに」と思いますよね。

そうなると患者サイドと医療サイドに軋轢が生まれ、信頼関係がうまくいかず、ぎくしゃくした最期になりがちです。




余命予測のずれは患者と医療関係者の信頼関係の足かせになります

 

では余命予測のずれを修正するにはどうしたらいいのでしょうか。

医者の知り合いに患者との余命予測のずれをどう解消しているのか質問したことがあります。

そのお医者さんは、患者自身から余命を聞いてこない限り、余命予測のずれを正すことはないと言っていました。

医療サイドから余命予測のずれを正してくることは滅多にないようです。

 

お医者さんから的確な残された時間を教えてもらい、後悔しない最期を迎えるためにはどのような質問の仕方をしたら良いのでしょう。

「自分は残された時間で遺産のことや今までお世話になった人にお礼を伝えたり、やりたいことがあります。残された時間を有効に使いたいので、自分に残された時間を教えてください」と目的を伝えて、ハッキリ聞かれると医者は自分の予測した時間を誠実に伝えてくれるようです。

家族であれば、「本人に出来るだけのことをさせてあげたいので、残された時間を教えてくださいと」伝えると、医学的に正論な答えが頂けるようです。

 

何となく「後どれぐらい生きれますか?」という目的のない質問形式では頭の良いお医者さんに茶化されてしまいます。

しっかりと目的を伝えることで、本当に残された時間を教えてもらえるとのことですので参考にしてください。

ここまで読んでいただきありがとうございます。当サイトには余命予測に関する記事が他にもございますので参考にしてください。

参考文献 緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法のガイドライン  苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン  聖隷三方原病院 予後の予測  淀川キリスト教病院(著)2007 緩和ケアマニュアル