ガンで死(臨終)を迎える瞬間について




ガンはどのように死の瞬間(臨終)を迎えるのでしょうか?

臨終の最期の瞬間はいったいどんな感じなのでしょうか?

大変恐ろしい思いをしながら死ぬことはあるのでしょうか?

この記事では死ぬ感じはどのような感じなのか考察していきたいと思います。

臨死体験をした人の話

死の淵から生き返った臨死体験について調べてゆくと「光に包まれた感覚」とか「体から魂が抜ける」など様々な体験を話している人たちがいます。

昏睡状態から生還した患者たちの臨死体験を参考にすると(1), 記憶が走馬灯のように駆け巡ったり、自分を遠くから見ている感覚になったり、知り合いに会ったり、小川や池のあるところに立っている感じがするようです。

臨死体験は、意識が戻ってきた人の話です。臨死体験が意識がなくなってゆくときの体験なのか、意識が戻ってくるタイミングで臨死体験をしたのかは不明です。

意識がない状態は、脳の機能が落ちている状態なので記憶できません。臨死体験は意識が完全になくなったときの体験でないといえます。意識が完全になくなるまでに少し時間があり、普通ではない体験をしてしまうと考えられます。

そのような意識がしっかりしていないときは、死への恐怖や不安という感覚はほとんどないようです。

つまり、恐ろしい、恐ろしいと言いながら死の瞬間を迎えることはないといえます。

臨終までの不安

ただし、臨終に向かってゆく過程では「差し迫る死」に対する恐怖不安はだれでも感じます

不安の程度は個人差がありますが、多くの人は治療を必要としません。

末期のがん患者であっても、不安はあれど、日常生活を送ることが出来る方がほとんどです。

毎日死にたくない、死にたくないといって生活している人は見たことがありません。

 

さらに、体の状態が悪くなり、臨終に向かうと、将来について深く考えることができなくなり、徐々に恐怖などの感覚を感じなくなっていくことが普通です。

 

末期ガンの場合は意識レベルが少し低下する時期に合わせて、孤独感や不安感が強くなる時期があります。残された時間が一ヶ月ぐらいになると不安を強く感じます。

夜眠れないと不安を強くさせます。状態が悪くなり、眠れなくなると、夜の間いろいろなことを考えてしまうため、不安が強くなります。

さらに意識レベルが低下するとせん妄などの症状が現れ、生きているという感覚が段々薄れてゆきます。もう不安は感じにくくなります。

臨終の直前は昏睡状態であり、鮮明な恐怖感を表現することはありません

 

どのように最期の瞬間を迎えるのか、臨死体験はどのような感覚なのか、あらかじめ知っておくことは、恐怖感を和らげ、こころ穏やかに家族を見送る支えになると信じています。

まず、生理学的な死の迎え方についてお伝えさせていただき、そのあとに、死への恐怖感や生への実感はどのように変化するかをお伝えします。

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生理学的な死の瞬間

ガンの場合、多くの方は急に呼吸が止まるのではなく、徐々に呼吸の休止時間が延長して、最期に呼吸が止まります。

心臓も急に止まるのではなく、血圧がゆっくりゆっくり下がってゆき、心臓のポンプ機能が停止します。

心臓が止まった時点が死の瞬間かもしれませんが、その瞬間を感じることはできません。

 

臨終の半日から一日前は、目を閉じてほとんど寝て過ごしていますが、呼びかけには反応できる方が多いです。声をかければ目を開けたり、うなずいたりします。

ガンが原因で死を迎える場合、臨終の数時間前になると急に血圧が低くなります。

血圧が低くなると、肩で息をするようになり、周囲からすると苦しそうな呼吸に見えます。死ぬ直前の呼吸は苦しそうに見えますが、本人は苦しさを感じてはいないでしょう。

 

いよいよ臨終に近づくと、息を吸っては数秒間休み、息を再開するような呼吸を繰り返すようになります。

呼吸の休止時間はだんだん延びてゆきます。

吸って、しばらく休んで吐いて、また休んで吸って、休んで、吐いてというサイクルを繰り返すようになります。

呼吸を休んでいる無呼吸の時間が長くなり、最終的には息を吸わなくなり、臨終となります。

 

呼吸の休止が始まって死ぬまでの時間は数時間以内のことが多いようです。臨終のときは突然訪れるのではなく、ゆっくり数時間かけて呼吸が遅くなり、穏やかに最後のときが訪れるのです。

無呼吸の時間が数分続けば、呼吸停止したと判断し、医師による死亡確認が行われます。

 

法律的には、呼吸をしなくなり、心臓の音が止まり、脳の機能が停止していることを医師が確認し、死亡診断された瞬間が、法律上の、いわゆる死んだ瞬間、臨終といわれる瞬間です。

ガンが原因場合、さっきまで元気に動いていた心臓が急に動きを止めるのではありません。

「がんの死」は一瞬で訪れるのではなく、半日ぐらいかけて徐々に心臓と肺が働くのを止めて死に向かってゆくのです。

急に「バタリ」と死ぬことはほとんどありませんし、生と死の境をある一瞬で分けるイメージではないようです。

癌患者の場合、テレビドラマのようにセリフを言い終わったと同時にバタリの死ぬことは絶対にありません。

意識が薄れ、眠っている状態が1日ぐらい続いてから、死を迎えます。

多くのガン患者の、ガンの種類にもよりますが、数週間の間にガタガタガタと容態が悪くなり、一日ぐらいかけて死んでゆきます。

もしあなたががん患者であり、しっかりとした意識があり「いつお迎えがくるの?」と考えることができるのであれば、明日死ぬことはあっても、一時間後に死んでいることはないのです。

 

死に対する恐怖感と生きている実感はいつまで?

末期がん患者の死に対する恐怖感は当事者でないと分かりませんが、意識レベルの低下がはじまると、集中力が減り、深く考えることができなくなり、なんだかよく分からなくなって、不安を訴えるようになります。

病状の悪化からか、日中寝ることが多くなり、昼夜が逆転してしまい夜目が覚めていることで孤独感や不安を強くしてしまいます。

死への恐怖からか、孤独になることに強い恐怖感を感じる方は多いようです。

特に夜に一人でいると強く不安を感じるようになります

 

訳もなく不安が強くなるということは、状態が徐々に悪化してきている兆候の1つです。

この時期は家族にそばにいてもらうことが一番の薬になります。家族こそが、不安を軽減する要です。

不安が強い時期は生きているという実感は確実にありそうです。

 

不安が強い時期を越えると、傾眠傾向せん妄が生じてきます。

せん妄が生じるということは周囲の状況が理解できていませんので、死への恐怖感は軽減し、不安を訴えることも減ります。

そのかわり、つじつまの合わないことを言うようになりますが…

 

せん妄が現れている時は、生きているという実感は薄れています。

せん妄とは周囲の状況をきちんと把握できておらず、自分の立場も分かっていない状況だからです。

お見舞いにきてくれた人を間違えてしまったり、今日の日付を間違えてしまうのは周囲の状況を把握できていないということです。

 

傾眠が現れると、不安があっても眠気が勝り、寝て過ごすことが多くなります。

寝て過ごすことが多くなるためか、臨終が近くなると不安は和らぎ、不安の訴えが減ります。

本人たちに直接聞いたことはありませんが、「差し迫る死」への恐怖も軽減されるようです。

さらに意識状態が悪化した昏睡状態(呼びかけても目が覚めない状態)であれば、外部からの刺激を脳が感じたり、考えたりすることはできないので不安や恐怖を感じることはできません。

 

注意力が下がりだし、不安が強くなり、死を強く感じるようになります。次に、せん妄が現れ、自分と周囲の関係があやふやになり、生きている実感がなくなり、最後にすべての感覚が失われ昏睡状態にまでなるまでが死の恐怖間、生の実感の経過です。

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まとめ

死の瞬間というのは突然訪れるものではなく、一日ぐらいかけてゆっくり訪れます。その間、意識はありません。何も感じることなく死ぬことになります。

死に対する恐怖や不安は一時的に強くなることは心にとめておいてほしいですね。不安は傾眠やせん妄が生じると軽減する印象があります。

 

追記

キュブラーロス著の「死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)」は有名な著書です。

死への葛藤から前向きな気持ちになれた方のエピソードや死生観を学ぶことができる良著です。まさに死を迎える段階を知りたいという方向けではありません。様々な人たちの死生観を知ることで自分の死生観を見つめ直すことができます。一読の価値があります。三部ありますが、最初の「死の瞬間」が最も心に残りました。

死ぬ瞬間に関することは、がんの進行によるヤセ、意識状態と密接に関わりがあります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

参考文献 山村尚子. (1998). 臨死体験. 日本老年医学会雑誌, 35(2), 103-115.




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