ガンで死(臨終)を迎える瞬間について




ガンはどのように死の瞬間(臨終)を迎えるのでしょうか?

臨終の最期の瞬間はいったいどんな感じなのでしょうか?

大変恐ろしい思いをしながら死ぬことはあるのでしょうか?

この記事では死ぬ感じはどのような感じなのか考察していきたいと思います。

臨死体験が教えてくれる、穏やかな最期

「死の淵から生還した」という人たちの話には、共通して不思議な体験が語られます。「光に包まれた」とか「体が浮き上がった」など、まるで魂が抜けるような感覚です。

昏睡状態から目覚めた人たちの体験談を調べてみると、走馬灯のように記憶が駆け巡る遠くから自分を見下ろす、先に旅立った大切な人に会う、といった話が多く聞かれます。

これらの臨死体験は、意識が完全になくなる瞬間ではなく、意識が戻るタイミングや、意識が薄れていくわずかな間に起きると考えられています。なぜなら、脳の機能が完全に停止した状態では、そもそも記憶ができないからです。

そして興味深いのは、この特別な体験をしている間、死への恐怖や不安を感じる人はほとんどいないということです。つまり、人は「怖い、怖い」と震えながら最期の瞬間を迎えるわけではないのです。

臨死体験は、死が必ずしも恐ろしいものではなく、もしかしたら静かで穏やかなものかもしれない、という希望を私たちに教えてくれています。

 

死への不安:誰もが抱く自然な感情

がんを宣告され、「死」を意識するようになると、誰でも不安を感じます。それはごく自然な反応であり、異常なことではありません。不安の程度には個人差がありますが、多くの人はその不安を抱えながらも、日常生活を送ることができます。

時に精神的に不安定になり、涙を流したり、大声を出すこともありますが、これもまた普通の反応です。数日から1~2週間、何もしたくない、何も食べられないと感じることもあります。しかし、次第に死への恐怖や不安は弱まり、元の生活に戻っていくでしょう。

 

最期に強まる不安と、その後の変化

がんの進行とともに、余命一ヶ月ほどになると、孤独感や不安感が一時的に強まることがあります。特に、体の状態が悪化して眠れなくなると、夜の間に様々なことを考えてしまい、不安はさらに強くなります。

しかし、さらに意識レベルが低下し、せん妄などの症状が現れ始めると、「生きている」という感覚が徐々に薄れていきます。この段階になると、不安を感じにくくなるのが一般的です。

最終的に、臨終の直前は昏睡状態となるため、鮮明な恐怖を表現することはありません。

死へ向かう過程で、不安を感じることは誰にでも起こります。しかし、その不安は永遠に続くものではなく、徐々に和らいでいくものです。

 

「どのように最期の瞬間を迎えるのか」を知っておくことは、死への恐怖感を和らげ、心穏やかに家族を見送る大きな支えとなります。この記事では、死へと向かう生理的な変化と、その中で感情や意識がどう変わっていくのかをお伝えします。

スポンサーリンク


 

生理学的な死の瞬間

 

がん患者の最期の時:穏やかな旅立ち

 

がんが原因で亡くなる場合、その瞬間はドラマのように突然訪れることはほとんどありません。多くの場合、体は少しずつ、穏やかに機能を停止していきます。

最期の半日〜1日前に始まる変化

臨終の半日ほど前になると、患者さんは目を閉じて過ごす時間が多くなります。しかし、声をかければ目を開けたり、うなずいたりと、まだ反応できることが多いです。

この時期から血圧が急に下がり始め、肩で息をするような呼吸が見られることがあります。周囲からは苦しそうに見えるかもしれませんが、本人は意識が薄れているため、苦痛を感じていないと考えられています。

 

呼吸が止まるまでの過程

 

いよいよ臨終が近づくと、呼吸の仕方が変わってきます。

  • 呼吸の休止:息を吸って数秒間休み、また息を再開する、というサイクルを繰り返すようになります。この無呼吸の時間は徐々に長くなっていきます。
  • 穏やかな終焉:吸っては休み、吐いては休む、という呼吸が続き、最終的にはそのまま息を吸わなくなり、静かに最期を迎えます。

この呼吸の休止が始まってから亡くなるまでの時間は、多くの場合、数時間以内です。つまり、死は突然ではなく、数時間かけて穏やかに訪れるのです

 

法的な「死」と患者の感覚

法律上、死は「呼吸が止まり、心臓の鼓動が止まり、脳の機能が停止した」と医師が確認した瞬間とされます。しかし、がんの場合、心臓や肺が少しずつ機能停止に向かうため、「生」と「死」の境目がはっきりしないことが多いのです。

もしあなたががん患者で、まだ意識がはっきりしているなら、「いつお迎えが来るのか」と不安に思うかもしれません。しかし、意識がしっかりしている限り、明日を迎えることはあっても、1時間後に死を迎えるような急な最期はまずありません。

多くの場合は、数週間かけて容態が悪化し、最期の1日をかけて穏やかに旅立っていくのです。

 

死に対する恐怖感と生きている実感はいつまで?

末期がん患者の死に対する恐怖感は当事者でないと分かりませんが、意識レベルの低下がはじまると、集中力が減り、深く考えることができなくなり、なんだかよく分からなくなって、不安を訴えるようになります。

病状の悪化からか、日中寝ることが多くなり、昼夜が逆転してしまい夜目が覚めていることで孤独感や不安を強くしてしまいます。

死への恐怖からか、孤独になることに強い恐怖感を感じる方は多いようです。

特に夜に一人でいると強く不安を感じるようになります

 

訳もなく不安が強くなるということは、状態が徐々に悪化してきている兆候の1つです。この時期は家族にそばにいてもらうことが一番の薬になります。家族こそが、不安を軽減する要です。不安が強い時期は生きているという実感は確実にありそうです。

 

不安が強い時期を越えると、傾眠傾向せん妄が生じてきます。せん妄が生じるということは周囲の状況が理解できていませんので、死への恐怖感は軽減し、不安を訴えることも減ります。

そのかわり、つじつまの合わないことを言うようになりますが…

 

せん妄が現れている時は、生きているという実感は薄れています。

せん妄とは周囲の状況をきちんと把握できておらず、自分の立場も分かっていない状況だからです。

お見舞いにきてくれた人を間違えてしまったり、今日の日付を間違えてしまうのは周囲の状況を把握できていないということです。

傾眠が現れると、不安があっても眠気が勝り、寝て過ごすことが多くなります。寝て過ごすことが多くなるためか、臨終が近くなると不安は和らぎ、不安の訴えが減ります。

本人たちに直接聞いたことはありませんが、「差し迫る死」への恐怖も軽減されるようです。

さらに意識状態が悪化した昏睡状態(呼びかけても目が覚めない状態)であれば、外部からの刺激を脳が感じたり、考えたりすることはできないので不安や恐怖を感じることはできません。

 

注意力が下がりだし、不安が強くなり、死を強く感じるようになります。次に、せん妄が現れ、自分と周囲の関係があやふやになり、生きている実感がなくなり、最後にすべての感覚が失われ昏睡状態にまでなるまでが死の恐怖間、生の実感の経過です。

スポンサーリンク


 

まとめ:死は静かに、穏やかに訪れる

死の瞬間は、多くの人が想像するような突然の終わりではありません。多くの場合、1日ほどの時間をかけて、ゆっくりと、そして静かに訪れます。

意識が遠のく、最後の時間臨終が近づくと、意識は徐々に薄れ、眠っているような状態になります。呼びかけへの反応も鈍くなり、最終的には何も感じない昏睡状態となります。この時、死への恐怖や不安を感じることはありません。

しかし、死に向かう過程では、不安や孤独感が一時的に強まる時期があります。特に、昼夜が逆転したり、一人でいる時間が長くなると、不安が襲ってくることがあります。

この不安は、傾眠(眠っている時間が増えること)やせん妄(意識が混乱し、つじつまの合わないことを話す状態)が現れると、次第に軽減していきます。

死の過程を理解することは、患者さんだけでなく、そばにいるご家族にとっても、心の準備をする上で大切なことです。

 

追記

キュブラーロス著の「死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)」は有名な著書です。

死への葛藤から前向きな気持ちになれた方のエピソードや死生観を学ぶことができる良著です。まさに死を迎える段階を知りたいという方向けではありません。様々な人たちの死生観を知ることで自分の死生観を見つめ直すことができます。一読の価値があります。三部ありますが、最初の「死の瞬間」が最も心に残りました。

死ぬ瞬間に関することは、がんの進行によるヤセ、意識状態と密接に関わりがあります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

参考文献 山村尚子. (1998). 臨死体験. 日本老年医学会雑誌, 35(2), 103-115.




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください