癌性リンパ管症について




かなり苦しい癌性リンパ管症

この記事では癌性リンパ管症についてお伝えしたいと思います。

癌性リンパ管症という言葉は聞き慣れないかもしれません。しかし、肺癌の最終段階では癌性リンパ管症になるケースは少なくありません。

癌性リンパ管症に至ると、すぐに死を迎えてしまうので診断されていないだけです。最後にスゴく苦しくなった原因は癌性リンパ管症という方が多くいるのです。

癌性リンパ管症とは、悪性細胞がリンパ管を経由して転移し、リンパ管を閉塞してしまった状態です。

肺はリンパの流れが豊富であり、リンパ管が閉塞してしまうと、肺のリンパの流れが悪くなり、肺組織の間質に浮腫を生じるため酸素交換能が著しく低下してしまうのです。

もうちょっと分かりやすく説明できたら良いんですが、癌細胞がリンパ管に転移し、流れが著しく悪くなり、リンパ液が肺の細胞と細胞の間の間質というところに溜まるため空気と血液の距離が遠くなり酸素の交換が悪くなった状態です。

癌性リンパ管症の病態
肺のリンパのうっ滞

胸水は肺と胸郭の間に水が貯まることであり、胸水がたまると肺が膨らまなくなります。

肺水腫は血管から肺の間質に水が漏れている状態です。

リンパ管性はリンパが戻れなくなっている状態であり、混乱してしまいがちですが病態は違います。

癌性リンパ管症はガン細胞がリンパ管まで至っている状態であり、腫瘍細胞のコントロールができていない状況です。つまり、状況は極めて芳しくありません。

癌性リンパ管症の症状

癌性リンパ管症の症状は呼吸困難です。それも急激かつ強烈な呼吸困難です。

癌性リンパ管症の特徴として、今までちょっと苦しいぐらいだったけど、突然ある日を境に強烈な苦しさに襲われるというのがあります。

今までちょっと息が苦しい程度だった方も癌性リンパ管症になると何も出来ないぐらいの呼吸困難に襲われます。

息苦しさで身体中冷や汗をでびっしょりになるぐらいです。

胸水とは比較にならないぐらいの呼吸困難です。胸水も息苦しくなりますが、ある日突然に苦しさがアップするということはありません。

癌性リンパ管症は、肺癌、胃がん、乳癌で多く見られます。

とくに、肺癌でリンパ管症になると元々肺組織が少なくなっており、呼吸不全により命に関わる事態になります。

癌性リンパ管症の症状
溺れるぐらい苦しい

治療法は?

原因がしっかり分かっているなら化学療法が効果的な場合もあります。

癌性リンパ管症が原因でガンを発見して、何ヶ月も生存しましたという報告はあります。しかし殆どのケースは治療が行き詰まり癌性リンパ管症に至ってしまったというものです。

終末期の場合、化学療法に耐えうる体力が残っておらず、強烈な副作用のある化学療法は投与することができません。

治療としてはステロイドが効果的なようです。リンパ管の炎症を抑えて、リンパの流れが良くなり、症状が軽減します。

残念ながら効果は一時的であり、だんだん効かなくなります。

モルヒネは息苦しさを軽くしますが、癌性リンパ管症の場合、呼吸困難感が強いため完全に症状をとることは難しいでしょう。

癌性リンパ管症と治療
ステロイドと症状緩和

癌性リンパ管症と余命

癌性リンパ管症になると余命は1−3ヶ月というデーターもありますが、終末期癌患者の場合、1〜数週間以内にお亡くなりになる場合が多いようです。

私自身の印象としては1週間以内です。

ガンの終末期の呼吸困難症状に対する治療法は確立されているのですが、残念ながら息苦しさから解放されることはありません。

息苦しい感じが和らぐだけで、わずかな体の動きなどで息苦しい感じが強くなるでしょう。

癌性リンパ管症の場合、ステロイドやモルヒネ、酸素で息苦しい感じがよくなることもありますが、永久に症状を抑えられることはできません。

多くのがん患者は穏やかになくなることが多いのですが、癌性リンパ管症は意識が遠のくまで息苦しさを感じることになるでしょう。

癌性リンパ管症と余命
残されている時間は1〜2週間以内

ここまで読んでいただきありがとうございます。呼吸困難の症状などの関連記事が役に立つと思いますので、参考にしてください。

参考文献
がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン … – 日本緩和医療学会
Bruce, D. M., S. D. Heys, and O. Eremin. “Lymphangitis carcinomatosa: a literature review.” Journal of the Royal College of Surgeons of Edinburgh 41.1 (1996): 7-13.